気になる本

f:id:a2011:20211003084548p:plain

【授業研究】「「論理的思考」の社会的構築: フランスの思考表現スタイルと言葉の教育(渡邉 雅子著/岩波書店)」という本が届きました。コロナ禍で知り合ったフランス在住の皆さんとの学習会のための本です。この本を課題図書に決める会議には欠席したので、どういう経緯で決まったのは知りません。おかげで自分では買わない本に巡り会えることにもなります。

 まえがきと目次あたりを見て本棚に入れようとしたのですが、面白くてあちこちをだいぶ読み込んでしまいました。テーマは「国により学校教育におけるレポート(論文)の形式が異なり、それが国民の考え方を左右しているのではないか」ということです。

 フランスのディセルタシオン(Diseltation)とアメリカのエッセイ(Essay)の形式の違いを図解してあるページもあります。ここで更に目を引いたのはディセルタシオンの形式は「導入→展開→結論」とし、「展開:弁証法 a定立(正),b反定立(反),c総合(合)」としてあることです。当然のことながら、バカロレアの論文はこの形式だと示しています。その土台はヘーゲルだと言及しています。これだけで、色々なことが想起されます。

・日本の学者の守備範囲が狭いのはこれが原因?
バカロレアを導入している日本の学校はこれを知っている?
・なぜ、ヘーゲル?(マルクスではないの?)
弁証法とはいうものの「正-反-合」だけ?
・エッセイの形式では弁証法的展開がしにくいのはこれが原因?

 分厚くて、硬い文章の本です。しかし、久々に知的好奇心を掻き立てられる本です。偶々、最近、哲学者と弁証法についてメール交換を頻繁にしているタイミングで出会ったことにもシンクロニシティーを感じます。読み進めることも、オンラインの学習会も楽しみになりました。

※「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
  こちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4382057744/