本づくりの違い

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【授業研究】ある人物の本がとてもよかったので、続けて同じ人の著作を購入して読んでいます。仲間内でその前の本に続いて「読書会」の対象にしました。その本の第1章は期待通りで、楽しく読めました。

 ところが第2章は、あれれ?と少し首をかしげる記述が出てきました。まあ、それでもさほど嫌気が差したわけではないのでそのまま読み進みました。第3章は、がっくりです。読む気が失せてしまいました。具体的には以下の点です。

1 クイズの解答を提示していない箇所がある。
  (出典は明示してあるから、その本を買えということ?)
2 クイズの解答として説明してある内容が、たぶん間違い。
  (解答として載せてある説明はかなり無理な説明)
3 解説の中に出てくる社会現象の例が明らかに間違えている。
  (30年前のことならたぶん正しいのだが‥この本が出たのは3年前)
4 第1章は論理的にしっかりしているのに第3章は論理性も曖昧。

 前に読んだ本とは同じ作者によるものなのに、ずいぶんと違います。発行年にはさほどの違いがないにも関わらずです。これはたぶん、出版社と編集者の違いです。私はおかげさまでいくつもの出版社から本を出させてもらいました。出版社と編集者の力とやる気の違いを味わいました。

 優秀で意欲的な編集者は私とまるで議論をしているようになります。私としては論理的でわかりやすく書いたつもりの部分にも、文句をつけられている気がすることもありました。むきになって「これはこういう意味なんだよ」と言うと、「その言い方いいですよ。そう書きましょうよ」と切り返されます。確かに、その方がしっくりします。章立てなども同様です。

 逆に何も言わない編集者もいます。「ご自由にお書きください」というわけです。一見、良い編集者なのですが「一緒に良い本を創ろう」という熱意は伝わってきません。それでも私は読者に向けて書くのが楽しいのでそれほど嫌な思いはしないで書くのですが、校正の段階でこちらの変更依頼が通っていなくてイライラさせられたこともあります。全部直したつもりだったのに、校正ミスが残ったまま出版されてしまった本もあります。この編集者とはもう仕事をしたくないと感じています。

 そんな経験がよみがえりました。この著者は最初に読んだ本の出来栄えから推察するとかなりの実力があります。それなのに出版社と編集者に恵まれなかったために質の低い本になったのだろうと想像しています。

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