授業改善が教師の在り方を変える

【授業研究】1年ほど前にある研修会でお会いしたB先生は、それ以来、私の授業をモデルにして自分の授業を大幅に変えて実践し続けてきました。その途中で、何度もメール交換をし、直接お会いしたり、授業を見せてもらったりしてきました。

 そのB先生から届いた新しいメールが新たに考えるヒントになりました。内容の要約は以下です。

・校内である学年の授業のやり方をどう変えるかという話し合いになった。

 多くの先生たちは自分たちで考えようとしていた。

 そこでB先生は「生徒の意見を聞くこと」を提案した。

 結果は生徒にアンケートをとることにした。

・別の先生から授業がうまくいかないと相談を受けた。

 授業も見学した。授業方法にも問題があると感じた。

 結果「なぜ、リフレクションカードをとらないのだろうか?」と感じた。

 そうすれば、すぐに改善のヒントが得られそうなのに。

・でも、こんなことを考え付いたのは自分が授業を変えたからだと気づいた。

 小林さんに会っていなければ、皆と同じようにしていたと思う。[要約終了]

 これは「体験と振り返り・気づき」がその人の感じ方や物の見方を変えるということです。授業改善がうまく行かない根本は、先生たちの授業観(全部説明しない知識は伝わらないなど)や生徒観(叱らないということを聞かないなど)を変えられないからです。しかし、これらを「変えてから」授業改善をするのは無理です。B先生が体験したように、実際に授業を変えると生徒の様子が変わり、先生はこれまでと異なる授業プロセスを体験することになります。

 これを意識的に振り返ると様々なことに気が付きます。その積み重ねが「見かた・考え方」を変え、「生徒観・授業観」などを変えていくことになります。私が生徒観を大きく変えたきっかけはカウンセリングでした。この時も「カウンセリングのスキルが身に付く→生徒(クライアント)の反応が変わる→これまでとは異なる生徒とのカウンセリング・プロセスを体験した」という経過がありました。

 これに対して、多くの授業改善の実情は「ぺアワークやグループワークをやってみる→(スキルが低いので)失敗する→(こんな授業は役に立たない)と理解する→(生徒たちには伝統的な授業が良い)と改めて感じる→元の授業に戻る」となっているような気がします。結局、元の「見かた・考え方」はそのままか、更に強化されていくような気がします。

 これは組織的にシステムとして行う授業改善にもつながる危惧です。これについては別に取り上げます。

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