「生物」でも求められる対話型授業スキル

【授業研究】滋賀県立玉川高校で研究授業の指導をしました。若い先生が気合を入れて準備したのは「生命倫理」に関する話し合いの授業。結論が決まる話題でもなく、生徒たちが互いの意見を聞き、自分の意見を出し、互いに意見交換をして考えを深めるという授業です。生物の教科書の知識を改めて覚えるというプロセスもありませんが、これからの時代には必要な授業の1つなのだろうと思います。

 ただ、この種の授業は「しくみづくり」「資料づくり」の難しさとともに、生徒たちが「本気になって話し合い」をするための一種の演出も必要になるし、互いに人格的な衝突が起きないような安全対策も必要になります。更には、生徒たちが出してくる結論や話の成り行きに対して、適切な「教育的な支援」をする必要もあります。

 私はこれらを「キャリア教育」のプログラム開発をしていた時期に体験してきました。土台になったのは構成的グループエンカウンターやコンセンサスゲームなどの手法でした。昨日の研究協議では、それらの理論や私の体験を交えたアドバイスをしました。教科授業のアドバイスにこのような視点が役に立つと感じたのは初めての事でした。この授業は全体としてはうまく行っていたとは思います。しかし、私の感想は、「このような授業にも先生たちが取り組むとなると、このスキル育成は難しそうだ」でした。

 以前にもあるイベントで似たような授業を提示した先生がいました。これはひどいものでした。提供された資料にはいくつかの間違いが残っているし、進め方も杜撰。でも、参加していたのは善良な高校の先生たちなので、「これは解答不能」と理解しつつも、大人の態度で協力してそのプログラム自体は混乱することなく終了しました。だれも直接、そのことを提示した先生には質問もしなければ、批判もしません。しかし、終了後に私に寄せられた質問と文句は「たくさん」でした。

 似たようなことが学校でも起きるかもしれません。生徒たちは「どんなにつまらないプログラム」でも、滅多に文句は言いません。予定調和的に終わらせればよいことを多くの経験から学んでいます。生徒が文句を言わないから「良い」ではなく、本当に学びになっているかどうか、どんな種類の「対話」をつくろうとしたのか、等々の視点から丁寧に分析する必要があります。

 新しい授業にチャレンジする若い先生たちから、新たに学ぶことの多い研究授業の指導でした。

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