報酬が少ないから育たない!

【授業研究】「ニュースをネットで読むと『バカ』になる(上杉隆/KKベストセラーズ)」を読みました。「(日本では)一国の首相ですらジャーナリストは何かを理解していない」などと手厳しい、辛口の本です。彼によると、ジャーナリストとは「自ら取材して発表する人」ということのようです。米国ではジャーナリストの報酬は評論家などより圧倒的に高いのに、日本では逆転しているとのこと。これが、日本独特の報道の質の低さを作っていると彼は批判します。

 その中で、次の一文が印象的でした。「日本ではジャーナリストの報酬が低いから、ジャーナリストが育たない」。私はこれを読んで、授業改善の指導者の報酬が低いから、「授業改善研修会の講師が育たない」のと同じだと強く感じました。
 私は授業改善の指導者の条件は、(1)ある程度の授業者としての経験がある、(2)ある程度の「新しい授業」の実践経験がある、(3)一定の成果を上げたことがある、だと思っています。しかし、この条件に当てはまるのは、現役の先生たちか、定年退職した先生たちの中にわずかにいるだけです。現役の先生たちは仕事が忙しいし、報酬を得ることに制限がついているのでなかなか出かけることが困難です。定年退職した先生たちは比較的自由なのですが、報酬が低いので専門の研修会講師として活動することは困難です。
 だから、どんな人が研修会講師をしているかというと‥‥教育関連の会社や組織の人たちです。その大半の人たちは授業者でありません。書籍やネットの情報を基に「上手にプレゼンする人たち」です。これでは、聞いている授業者たちよりも授業の難しさを知らないのですから、聞いている人たちにしっくりくることは難しいのは当然です。
 これが多くの先生たちの「研修会疲れ」を招いていると思います。残念なことです。何とかならないものでしょうかね〜。