「うちの生徒が不登校になってしまいました」

【授業研究】最近、研修会があるたびに「授業改善の動きの現状と気がかり」について話しています。気がかりは色々ありますが、その一つが、「生徒・保護者・地域の人たちからの不安・不満・反発の表出」です。先日もある会でそれに触れた話をしたところ、終了後に相談を受けました。
「本校の生徒が不登校になってしまいました。本校では多くの先生たちがアクティブラーニングに取り組んでいるので、その生徒のクラスでは1日に2〜3時間はグループワークなどを取り入れた授業があったようです。それで、そういうことが苦手な生徒にはとてもプレッシャーになったようなんです。どうすればいいでしょうか?」
 半年も前から警鐘を鳴らしていることが、現実になっていることは、予想が正しかったという点ではうれしいことですが、起きていることは「悲しい現実」です。
 対応策の案です。「事前の対応」「授業中の対応」「事後の対応」を示しておきます。ご参考に。
1 事前の対応
(1) 校長が生徒・保護者にきちんと説明しておくこと。
(2) その際、「苦手な人には段階的な指導をすること」「無理をしないこと」「授業者や担任に相談すること」などを伝えること。
(3) 校長は教員に対してもグループワーク等を「全員に同時に同じことをやらせる」ことにこだわりすぎないように、指導しておくことが望ましい。
2 授業中の対応
(1) 授業者は、生徒にはグループワーク等が「苦手なタイプがいる」ことと、「その日は参加しにくい精神状態の生徒がいる」ことを、理解しておくこと。いずれにせよ、そういう生徒のために、「一人席にいてもよい」「一時的にグループワークに参加しなくてもよい」と案内をしておく。(安全安心の場を確立維持しておけば、生徒たちは自己開示しやすくなる)
(2) ワークの最中に、苦しそうな生徒がいたらワークを抜けさせるか、ワークそのものを中断する。その後、該当生徒とは個別面談を行う。
3 事後の対応
(1) 担任や学年主任に報告する。生徒とは個別面談を行う。その状況によっては担任・相談係・保健室の養護教諭などを巻き込んで対応策を考える。
(2) 対応策を考えるときに「健常な生徒の一時的な反応」「健常だけどワーク等が苦手な生徒の反応」「自閉症スペクトラム精神疾患などの生徒の反応」などを識別して適切に対応し、継続的な指導計画を立てる。