【授業研究】「凶暴老人_認知科学が解明する「老い」の正体(川合伸幸著/小学館新書)」を読みました。自分自身がもうすぐ67歳になるので、他人事とは思えず手に取りました。
認知科学を専門とする筆者のたくさんの実験と分析はとても説得力があります。自分の脳を健康に維持すれば、キレる老人になることは少なそうだと理解できました。有酸素運動の重要性が指摘され、「脳トレ」はほとんど無駄と批判してあります。これは私にとっては役立つ内容でした。
しかし、本書全体は表題とはだいぶ異なるテイストになっています。
要点は以下です。
・実は老人の凶悪犯罪は少ない。
・社会の反応が「老人に冷たい」ことが問題。
施設の職員はそれを「暴力」と捉えていない。
・対して日本では「老人を差別する」報道や表現が多い。
・現在の道路交通法も老人を排除しようとしているように見える。
(道路交通法「18基準行為」を指す。普通は反則切符。
老人(75歳以上)は免許取り消しになる行為が決められている)
・社会が老人を差別しているから老人は孤立しやすくなる。
・これらが「キレる老人」の背景なのではないか。
などです。
この本は、高齢化社会が進む日本において、老人を差別し、
老人を非人間的にみる見方が広がることに警鐘を鳴らしています。
文部科学省が障害のある子どもたちと健常な子どもたちの共生を
進める施策打ち出しているのとは対照的です。
私は授業改善運動でも50代60代が差別されることが気になっています。
そんなことを考える機会になりました。良い本です。
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