恐ろしい学校事件2

【授業研究】「モンスターマザー(福田ますみ著/新潮文庫)」に衝撃を受けて、同じ著者の同様の事件をテーマにした「でっちあげ(福田ますみ著/新潮文庫)」を読みました。これも恐ろしい事件です。

 少々気が弱い小学校教諭が保護者に「子どもが担任に体罰をされた」と訴えられます。それを聞いた校長は教諭に非を認めさせ、謝罪させます。身に覚えのない教諭でしたが「丸く収めるために」と頭を下げます。しかし、保護者からは「まだ続いている!」「緊急保護者会を開け!」と矢継ぎ早の追及が続きます。校長もそれに振り回され、言われるままに譲歩します。これが裏目裏目に出て、マスコミが騒ぎ、教諭は謹慎扱いを経て、結局停職6か月の処分。保護者側はそれでも収まらず教諭と教育委員会を相手にして民事訴訟へ。新聞、週刊誌、ワイドショーが取り上げて大騒ぎになります。

 しかし、裁判が始まると保護者側の「でっちあげ」が次々に明らかになります。結局、数年かかったものの、裁判はほとんど教諭と教育委員会の勝利。教育委員会は「停職6か月」の処分を白紙撤回まで進む大逆転‥というストーリーです。小説ではなく事実であることが恐ろしい内容です。

 報道記者の取材方法に大きな問題があることも指摘していますが、私には教員として「教師を守る」「学校を守る」「生徒を守る」ために何をすればよいかをが気になって仕方がありません。「早く頭を下げて丸く収めよう」という気持ちはわからないではないです。しかし、「事実を明らかにすること」を疎かにしてはならないと改めて強く感じました。この本も学校関係者は「危機対応の参考書」として読んでおくことが必要な気がします。

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