心強いビジネスパートナーとしての山田さん

【山田さんの思い出②】山田さんはビジネスパートナーとして素晴らしいパートナーシップを発揮してくれました。

 出張のバックアップ以外で手伝ってくれたことの1つが本や雑誌の原稿作成と研修会資料の作成、研修会後の記録集等の原稿作成でした。まず、引き受けた仕事は全部共有カレンダーに書き込み、別のエクセルリストにも打ち込んでくれます。それらを見ながら督促してくれます。「明日締切の資料はできてていますか?」「〇〇高校から返送すべき書類が郵送されたはずなのですが、確認していますか?」「▢▢の書類は私(=山田さん)が作成しますから、こちらに回してください」‥という具合です。

 年間100回前後の講師を引き受けているとそれでもたまにミスが出ます。「山田さん、〇月〇日はどこに泊まるの?」「あ、予約していませんでした。すぐに予約します。‥少し高くなっちゃいました。すみません」。ある時は飛行機の遅れが原因で予定外の場所に宿泊しなくてはならない事態が出てきました。この時も「小林さんは、そこで夕飯食べて休んでいてください。その間に近くの宿泊施設を探して予約します」と対応してくれて私は快適な出張を続けることができました。

 単行本や雑誌の原稿を最初に読んでくれるのも山田さんでした。誤字脱字をチェックするとともに、感想も伝えてくれます。「私が教員だった時にこれを読んでいたら、もう少し続けていたかもしれません」と言われたこともあります。彼女の編集能力は高く、しばしば出版社の編集の方も気が付かない原稿の問題点を見つけてくれていました。

 この4年間、色々な会社の人が私を尋ねてくれました。面白そうな話を持ち掛けてくれます。ある人にはしばしば「人を見る目がない」「誰でも信じすぎる」と言われる私です。動き出しては違和感を感じ出すと山田さんに愚痴り、相談します。すると、「やめましょ。やめましょ。私もあの人嫌いなんです!私がお断りのメール出しておきます」という具合でした。それからは「あの人どう思う?」と山田さんに尋ねることが増えました。

 会社形式にすると節税はできるのですが、手続きは複雑で面倒です。領収書の保管と分類、見積書・請求書等の発行、更に入出金のコントロールと記録‥これらを山田さんはテキパキと正確にやり続けてくれていました。私がやると請求書1枚作るのにミスを続けて1時間もかかります。山田さんは10分くらいです。私はいつも「自分が情けない。山田さんはすごいよね」と言います。山田さんは「得意分野の違いです。私はこういう仕事が好きなんです。小林さんは指導する・研究する・文章を書く‥が得意で、人の役に立つのですから、そちらに集中してください」と応えてくれます。

 いつも「山田さんがいないと俺は生きていけないね」と笑っていました。今、まさにその事態が出現したことになります。税理士さんからも「できますか?」と心配されています。今月11月は弊社の決算月です。山田さんが亡くなる直前、「もう仕事ができない」と連絡をもらってから、手元にある数十枚の領収書を初めて私がデータ入力しました。やってみてビックリ。実にやりやすシステムを構築してくれていました。これなら私でもできるかも‥と感じています。わからないことも多々あります。これから1つずつ解決していきます。

 すでに昨日までの4泊5日の出張と、昨日の大阪から東京への移動とその他の出費の領収書の整理とデータ化は済ませました。私がこんなことができるとは思えませんでした。山田さんは私に「1人でも仕事してくださいね」と言っているに違いありません。彼女の最大の遺産は私を鍛えてくれたことなのかもしれません。[この項続く]