得意な科目はうまくいかない?

【授業研究】ある時の研修会の途中で興味深い質問を受けました。「1年生に現代社会を教えている時は少ない説明と長めのワークでうまく行きました。今年度、2年生に日本史を同じように教えることになったら、うく行かないんです。どうしてですかね?」というものでした。

 いくつか質問をしたのちのやりとりです。

「あなたの得意分野は?」

「日本史です」

「あ、そうなんだ」

「あ。‥だから、つい説明をしたくなってしまうんです」とのこと。

「そうなんだ。そんなものかもしれませんね」と答えると、

「やっぱりそこを工夫しなくてはいけないですね。もう一度、頑張ってみます」

ということで終わり。

 得意な分野はどうしても話したいことが多い。話しすぎる。ということのようです。でも、この気づきで彼の授業が変わるのだろうか?その後の変化が気になります。

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「導入&実践BOOK」は実践にお勧め!

【授業研究】最近、「確認テストの実物を見たい」「リフレクションカードってどんなシートを作っていたのですか?」などの具体的な質問をいただくことが増えた気がします。その際は「いまからはじめるアクティブラーニング導入&実践BOOK(小林昭文著/学陽書房)」をお勧めしています。1年半前に出した本ですが、実践を始めた人に役立ちつつあるようです。

 そんな矢先にアマゾンのレビューにもまさにその通り、のコメントが寄せられたので紹介します。

 「導入する上でのはじめの一歩が記されています。最初は、アクティブラーニング入門2でした。たまたま本屋で手に取りました。第2章まで読んで、アクティブラーニング入門を注文し、先に読破しました。
 が、具体的なプリント等の資料がなくモヤモヤしていたところこの本を見つけました。最初に必要なことが、具体的な資料とともに記載されています。

 今は、アクティブラーニング入門2に戻り、第3章から読み直しています。これからはじめようという際の、大きな道標となると感じています。」

 実は授業で使っていたプリントを本に掲載するのはかなり面倒なのです。というのは、私のプリントは教科書の図・表をそのままたくさん使っています。時には複数の教科書を使っている場合もあります。そのため、それぞれの教科書会社の了承を得る必要があるのです。この面倒な作業を学陽書房の編集の方が丁寧にやってくれた力作なのです。ぜひ、書店でお確かめください。

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アクティブラーニングで下位層が減少する

【授業研究】津田学園に伺ったときのことです。「授業改善の効果が出ていることを、先生たちにどうやって理解させたらよいですね?」と質問されました。「すぐにわかるのは点数分布です。下位層の減少が現れると思いますよ」と答えました。

 すると、「そういえば‥」と取り出してくれたのは業者による学力テストの分析でした。そこには近隣他校等の比較のグラフがあり、まさに「下位層の減少」が他校よりも著しく起きていることがわかります。

 これは私が物理授業を変えた時にすぐに現れた現象でした。私と同様の授業を行っている人たちの多くの場合で、同じ現象が起きています。ただ、全校生徒を対象にしたテスト分析で現れていることを私が知ったのは初めてのことでした。

 このことは大掛かりなテストをやらなくても、クラス内の定期試験の点数分布を見ていてもすぐにわかります。逆に言えば「下位層の減少」が起きていないなら、授業の組み立てを再検討した方が良いかもしれません。

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授業改善は甲子園への道?

【授業研究】三重県の私立・津田学園中学高校に伺いました。小学校も併設してあるので、小中高校の先生たちが研修会に参加されます。駅まで迎えに来ていただいていました。

 開口一番「実は甲子園の初日の試合になりました。明後日なので、学校中がばたばたしています」とのこと。津田学園が甲子園出場に決まったことは知っていましたが、研修会の翌々日が試合とは。大騒ぎになっていました。

 その中で「宿舎に行って驚きました。同じ宿舎のもう一つの学校は埼玉代表の花咲徳栄高校でした。アクティブラーニングつながりですよ」との話が出てきました。花咲徳栄高校は私が授業改善に3年ほど関わらせていただいて大きな成果を上げた高校です。津田学園の皆さんに「どこか実践学校はありませんか?」と問われて、紹介し、見学に行ってもらった学校です。その両校がともに甲子園出場を果たし、同宿になるとは。不思議な縁です。

 そういえば鳥取県で私が関わって授業改善に大きな成果を上げたのは私立・鳥取城北高校です。ここも昨年は甲子園出場を果たしました。それ以外にも私が関わっている学校の中には予選でいい線まで行った学校がいくつかあります。「授業改善は甲子園出場のカギになる」なんてことになったら面白いなあと思っています。(笑)

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「学びは個別!」

【授業研究】昨日は本学フォーラムでした。授業体験のひとクラスのコーディネーターとして担当する仕事以外には特段の仕事がなかったので、参加者に近い形で登壇者の話をゆっくり聞くことができました。

 最後は苫野一徳先生の「哲学」の講義。深遠な話を50分で、というのがそもそも無理な気もしますが、それでも必要なことは「学びの個別化、協働化、プロジェクト化」との発言は実にコンパクトで明瞭な提言でした。

 そして、私が10年前に作り上げた授業でやっていたことは、ほぼその形になっていたと感じました。とりわけ「学びは個別」に心強く感じました。私の物理授業でしばしば指摘されるのは「最後にまとめをまなさないのですか?」「最後は発表させないのですか?」です。私は「物理というコンテンツの学び」も、「態度目標に提示したプロセスの学び」も「個人の中でしか起きない」と理解していましたし、「個人が(文章化するなどして)意識化できれば良い」と考えていました。それが「私だけの思い」ではなく、「哲学的な一般化」をしてもらえた気がしたからです。

 講演ののち、たくさんの人が苫野先生の著書を持っていきサインをもらっていました。そこに手ぶらで行くのは少々気が引けたのですが、「名刺交換を‥」とずーずーしくご挨拶に伺いました。すると「あ、いらっしゃったのですね。お会いしたかったのですが、お会いできないかと思っていました。ご著書読ませていただいています」とお返事。うれしい限りです。熊本生まれであること、しばしば帰郷するので、それに合わせて大学に伺います、とご挨拶しました。次にお会いするのが楽しみです。

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毒にも薬にもならないことはやりたくない‥

【授業研究】比較的近距離の高校から学校改革のスーパーバイザーになって欲しいと依頼を受けました。それも4年間の計画です。実に光栄です。スーパーバイザーは私一人なので、責任も重大です。

 一か月ほど前に概略を伺っていて、基本的には引き受けたいと意思をお伝えし、昨日は校長先生もお見えになり、正式に依頼をお受けすることにしました。

 その席上、過去数年間の取り組みと、今年度の計画を示してもらいました。私はそれに対して、「以前のあまりうまく行かなかった方法を繰り返しても、うまくいかない」と意見しました。どうせやるなら、「思い切った方法でやりましょうよ」「それほど遠くはないから、私は時間があれば何度でも行きますよ」などと発言していました。

 終わってみれば、失礼なことを申し上げたと少々後悔。でも、私は「毒にも薬にもならないスーパーバイザーにはなりたくない」と強く感じています。やるなら効果を上げたいし、効果はすぐに出るはず、と思っています。

 よく言われることですが「授業改善しても急には成績が上がらない」「地道に続けていれば何年かすれば上がります」に私は反対です。私の高校物理授業は切り替えたとたんに成績は向上していきましたし、「居眠り皆無」などは切り替えた初回から実現していました。第一、何年か効果が上がらなかったら、その間の生徒たちは「実験材料かモルモット」になってしまいます。そんなことはしてはいけないと思っています。

 重い責任をいただきますが、私が培ってきたものを余すことなく投入し、必要なら色々なことを発明しながら、この重要な役割を果たそうと思います。

つながる!

【授業研究】自分のアタマの働きにはムラがあると自覚しています。仕事に追われてストレスがたまってくると、あまり良い発想が浮かびません。そんな私の気分転換は小説です。小説を読むとすっりして、アイデアが浮かんでくることがよくあります。

 しかし、忙しくなると小説を読む余裕がなくなり、「小説を読むことがストレス解消になる」ということ自体も思い浮かばなくなります。

 先週、出張の途中で駅の売店に好きな作家の新作が並んでいました。以前はこの作家の新作はまだないのかと検索をかけていたのに、それすら忘れていました。その場で買って読み始めました。好きな作家だと寸暇を惜しんで読みます。この数日、10~20分の空き時間にも読みふけっています。

 すると‥。この2~3日、研修会向けのプログラム作成や「入門3」に向けての原稿準備が進みます。新しい、良いアイデアがいくつも出てきています。バラバラになっていたこれまでの実践がつながるという実感があります。「やっぱり、私にとっては小説が活力源」と再確認したような気がします。

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