「あれ、いいですよ!」

【授業研究】今年度の初めに大学AA(アカデミック・アドバイザー=担任のような立場)の仕事として思いついて始めたことがあります。学生個人別のリフレクションカードです。

 A4用紙に前期14回分の罫線を印刷して、毎回の授業の感想や気づきをひと言書いて提出するものです。少し早めに教室に行って、全員のカードを名前のところだけ見えるように少しずらして重ねて机の上に置いておきます。入室した学生にはそれをとって席につくように指示してあります。これによって、何人来ているか、誰が来ていないかを即座に把握できます。ここまでは、大学の他の授業でもこれまでに行っていたことです。もとはと言えば高校物理を大幅に変更した時に、「ついでに」始めたことでした。

 今回、思い付きで変更したのは「裏側」でした。ここに学生が前期に履修している講座名を月曜1時間目から金曜日まで順に記入させ、その横に14回分のマス目が並ぶ形に表を作成しました。入室して席に着いた学生には1週間分の授業の出欠記録を記入させます。「出席→〇」「欠席→×」「遅刻→△」、更に「発言した、手を上げた、レポート提出した」などには「◎」を記入させるようにしました。

 この効果があるのかないのか、いささか不安でした。そこで、面談の中で時々、「あれはどうですかね?」「効果がありますかね?」と質問していました。すると大好評です。「なんか、丸を書き込んでいくと、今週も頑張った‥って気になります」「単純に丸が並ぶのは気持ちいいです」「あれ、いいですよ。ちょっとだけ1週間を振り返るのっていいですよね」「もうすぐ半分。残り半分頑張ろう‥なんて思えました」「たぶん、みんな出席率良くなると思いますよ」‥などなど。

 「軽いプレッシャーとちょっとした楽しさ」「批判されないから安全安心」‥の中で引き起こす「振り返りと気づき」ということです。物理授業を構造化するときに考えた「確認テスト」と同じしくみができました。基本的には学生のための仕組みです。ついでに、AAとしての私の安心にもつながります。

 大学では学生たちと会うのは1週間に1回だけなので、私の授業以外での学生の出席状況がなかなか把握できません。気が付くと欠席が多くて単位が取れなくなるのでは‥と大慌てすることもあります。このカードのおかげで、学生の出席が順調であることをほぼリアルタイムで把握できるので、私も安心できています。

 これは一部の高校でも使えそうです。最後に勤務していた高校は総合選択制のために2,3年生ではクラス単位で受ける授業はほとんどありませんでした。クラス担任として朝と帰りのSHRでしか生徒に会いません。途中の授業に出席しているのかどうかの確認に少し時間がかかります。この方法をあの時にも思いついていたら、役に立ったのに‥と思います。今まで思いつかなかったことが不思議です。

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