「とりあえず、すぐにできる方法はないですか?」

【授業研究】学校内研修会で出た質問です。「すぐに自分の授業を大幅に変えることはできそうにないのですが、明日からでもすぐにできることは何かありますか?」という質問でした。

 この質問は以前にも別の会場で受けたことがあります。私の近くでそれを聞いていた人が「え?そんなの自分で考えるべきだろ‥」と言うのが聞こえました。その方にはこの質問が「すぐにできるやり方を教えてよ」と依存的な質問だと感じられたのでしょう。私はそんな風に批判的には受け止めませんでした。私は、この先生は「明日からでも変えたい」と意欲的なのだととらえたからです。「すぐにでもチャレンジできる方法があればチャレンジしたい‥」と言うところに焦点を当てれば、実に積極的な質問だと解釈できるからです。このあたりも研修会講師としての「対話スキル」として重要なことだととらえています。

 その回答は以下です。

 お勧めは「今までと同じ講義形式のままで良い」ですから、生徒に以下のことをするように伝えてください。

➀先生の話を「鵜呑みにしない」で聞いてください。

②そうすると、あちこちに疑問がわきます。

  例えば「この漢字は何と読むの?」「この言葉の意味は?」

  「その地名の場所は?」「なぜ、そんな事件になったの?」

  「なぜそんな式を出せるの?」などです。

③ノートを取りながら、このような疑問やひっかかりをノートに記録してください。

④授業終了後に友だちと「これ何と読むの?」「この言葉の意味わかった?」

 などと質問してみてください。質問したり教えたりして理解が深まります。

 友達同士でも解決しないときは先生の所に質問に来てください。

 これだけで、生徒たちは「対話的な学び」を始めることになり、そのことが「主体的な学び」に繋がっていきます。更に、質問疑問の積み重ねが「深い学び」を促進します。

 

 もう1つの方法がこれを基に先生が「少し形を変える」ことです。次のように生徒に指示します。

➀説明を10~15分間します。その間は、聞いていてください。

 しかし、「鵜呑みにしない」で、疑問をチェックしながらノートしてください。

②説明が終わったら、隣の人とペア(または3~4人グループ)で、気になったことや質問

 してみたいことについて、2分間話してください。

③そのあと3~5分の質疑応答時間を取ります。

  積極的に質問してください。

④このサイクルを1時間に2~3回繰り返します。

 これだけで、生徒たちの質問がどんどん増えます。

 

 付録です。私はこれを大学の授業や、校内研修会でも使います。その時は、まず私がコンパクトな回答をすることを心がけます。無駄な話をせずに、論理的に回答します。それを基に、学生や受講している先生たちに「コンパクトな質問」をしてください。とお願いします。こうすると、質問が論理的になります。質問する人の思考力も高まりますし、質疑応答を来ている人の論理的な能力の向上も期待できます。

  

 要するに、生徒が「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、先生たちがあれこれ工夫するだけではなく、生徒たちの学びのスタイルを「主体的な学び」「対話的な学び」が起きやすくなるように教えてあげれば良いのです。

 この学び方を生徒たちに教えてあげると、他の科目で「伝統的な形式の授業」を受けるときも、生徒たちはノートに疑問を書き込み、終了後に友だちと語り合い、積極的に調べたり、質問に行ったりし始めます。

 文部科学省が示した方向は「主体的・対話的で、深い学びの実現」です。ペアワークやグループワークをやらなくてはならないわけではなく、ICT機器を使わなくてはならないわけでもありません。この視点に立てば、明日からでも「とりあえず、すぐに授業を改善することはできる」のです。どうぞ、お試しください。

◎以下、「新しい研修会講座」と「拙著」の案内です。

★「入門講座1」2017/11/11(土) 16:00~19:00 東京・恵比寿

  「こくちーず」はこちら→ http://www.kokuchpro.com/event/ALK1111/

★「入門講座1」2017/11/12(日) 13:30~16:30 東京・恵比寿

「こくちーず」はこちら→ http://www.kokuchpro.com/event/ALK1112/

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