安全安心の場が挑戦の意欲を高める。

【授業研究】昨日の記事に色々なコメントをいただきました。ありがとうございました。
A「全員でなにかを達成することが美徳」という日本人のメンタリティー。
B「満点をとる」という「正解主義・完璧主義」。これも日本人のメンタリティー。
C「困ったときには助けを求められる状況がモチベーションを高める」
D「一生懸命やらないと周りの人に教えてもらいにくい」
E「分からない自分をさらけ出して助けてもらえる、ちょっとマゾヒスティックな快感を感
じました。それでちょっと分かるようになるとうれしい!」
 ここでは、セミナーのリーダー(or 授業者)として、働きかけることができる要素に焦点を当てて考えたいと思います。AとBは関係ありそうですが働きかける対象ではない気がします。DとEはものすごく個性的な反応ですから、これも個々に操作しにくい。ただ、この両者に共通しているのは、「挑戦しようという気になった」ということです。これはCと共通します。

 それで思い出したのは、プロジェクト・アドベンチャーが使う図解です。要するに、「安全安心の場がないと人はチャレンジをしにくい」という図解です。Cの見解とほぼ同じです。では、私がこれをやっていたかです。やっていました。
 まず、セミナーの最初に私はこう説明します。
「このセミナーは知識を伝達・記憶する場ではありません。コルブの経験学習モデルを体験してもらうことです。それには安全安心の場が必要なのでテーブルごとに仲良くなっておいてください」
 更に、この演習問題に入る前に何回かのグループでの小さな話し合いをさせています。「科学者は何をしているか模造紙に書き出してください」「アインシュタインは何の研究でノーベル賞を取りましたか?」「比熱の大きいものと小さいもの。身近にあるものをあげてください」。こらの話し合いの中で、グループは安全安心の場に変化していきます。これがうまくいくと、「さあ、問題をやりましょう」という時に、一斉にチャレンジできると言うことではないでしょうか?その具体的な感情はDやEのように様々なのだと思います。
 昨日取り上げた「Bさん」はこのDやEのような「個人的なモチベーション」の内容は意識化できていないけれども、「安全安心の場を感じていたので、チャレンジした」ということだと推測できます。実際、Bさんがいたグループはとても楽しそうでした。事後にそのグループの人たちとも話しましたが、「楽しかった」と口々に話していました。
 この仮説に基づくなら、実践家としてはやるべきことがはっきりします。ワークに入る前に、「全体の雰囲気」と「各グループの雰囲気」を安全安心の場にすることです。「リーダーの私がいるから安心」のメッセージを伝えることも効果的な気がしますが、それではリーダーや「先生」に依存的です。「仲間同士で支え合う」を実現したいと思います。
 コメントをいただいたみなさまありがとうございました。この仮説でしばらく取り組んでみます。新しい発見があったら、報告します。