テレワークができない先生たち?

【授業研究】某県の方から聞いた話、大学の先生から聞いた話、常々大学生や高校生の実情を見てきて知っていることが、大きな問題につながっている気がしてきました。

 某県の人から聞いたのは次の話です。様々な研修会は次々に中止になっています。その中で「初任者研修」は国が定めた研修なので教育委員会・教育センターとしてもできるだけやる方向で模索しています。そこで、この県では「オンライン研修会」で実施することを決めました。その直後に実施を見送りました。

 その理由は初任者の一部に「テレワークができないことがわかった」からだというのです。彼らの自宅には光回線などの通信網が整備されていなくて、PCも持っていないというのです。従って、オンライン研修はスマホで受けることになる。そうすると、通信容量が大きくなってしまうというのです。

 ところがしばらくしてトップダウンで「それでも実施する!」と決まったとのことです。その理由は「テレワークができるように環境を整えるのは自己責任だ。仕事をするのに必要なのだから各自で環境を整えるべきだ」だったとのこと。賛否ありそうですが、私はそれでよい気がします。実際に若い先生たちの中には自宅にはスマホしかない人がいることを私も知っています。

 ある大学の先生から聞いた話は上記の事実の背景を示しています。その先生はこの4月から都内の大きな大学に異動されました。そこでオンラインを始めたところ、スマホしか持っていない3年生がいたのに驚いたと言います。これまでのレポートも全てスマホで済ませてきたというのです。こういう学生が前段で述べたような「テレワークができない社会人」を生み出すのでしょう。

 そして現在、小中高校生が「オンライン授業に参加できない」という問題が続発しています。その理由のかなり多くが「スマホしかない」です。最近、偶々、フランスを中心とするヨーロッパの人たちとオンライン研修会を実施して、その打ち合わせの際の雑談で聞いた現地の様子と段違いです。

 フランスではいきなり外出禁止令が発令されてあらゆる教育は「オンライン」に移行しました。準備期間もなく大混乱だったようですが、「スマホのギガ死」問題は「聞いたことがない」と皆さんが言います。つまり、どの家庭にも通信回線とPCはある。その上にスマホらしいのです。大学生は大きなノートPCを入れたリュックを背負って大学に通うのが普通の光景だと言います。

 この海外との違いは大問題である気がします。オンライン授業がこのまま続くのか終わるのは不明ですが、高校生くらいの段階で「家庭の通信回線」と「スマホの前にPC」を生徒たちやご家庭に勧めるべきです。それもタブレットではなくキーボード付きで。これができないと数年後には「テレワークができない初任の先生たち」として戻ってくるという「恐ろしい因果応報話」でした。 

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