老い耄れ、老熟、小春

【日常の記録】寝ても寝てもスッキリしないので、
偶々見つけた少し前の連続TVドラマをダラダラと視聴。

チームが巨悪に挑むドラマ。ドキリとした場面。
最年長のベテランにヒロインが投げかけた罵詈雑言。
「〇〇さん、甘ったれないでください。
 老いぼれている場合じゃないです!」

そうか、「年を取る」と「老いぼれる」は違うか‥
「老い耄れる」ってこんな漢字なんだ‥
もっと前向きな言葉はないの?
「老熟」ということばを見つけました。

[引用開始]
そして今も今、いと誇り顔に「われは老熟せり」と自ら許している。
アア老熟! 別に不思議はない、
“Man descends into the Vale of years.”
『人は歳月の谷間へと下る』
[引用終わり][引用元:国木田独歩『小春』]
英文箇所は「オセロ(シェイクスピア)」らしい。

なるほどね。と思い『小春』を読み進めると、
若々しい青年を「春」とすれば老年を「小春」と作者は言う。

[引用開始]
『僕のようなのが小春だろう!』と自分は何心なく答えて、
そしてわれ知らず、
未(いま)だかつて経験した事のない哀情が胸を衝ついて起こった。
『君が春なら僕は小春サ、小春サ、いまに冬が来るだろうよ!』
『ハハハハハ冬が過ぎればまた春になりますからねエ』
と小山はさも軽々(かるがる)と答えた。
四囲あたりは再びひっそりとなった。
小山は口笛を吹きながら描いている。
自分は思った、むしろこの二人が意味ある画題ではないかと。
[引用終わり][引用元:国木田独歩「小春」]

「老塾」も良いし「小春」もよさそう。
しかし‥国木田独歩の没年は1908年6月23日(享年36歳)。
引用した『小春』は明治33年(1900年)の作。
この時、独歩は28歳。
28歳でこの境地であることに驚き。

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