ようやく技術論を前面に

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【授業研究】来週から新しく始まる連続講座(*)があります。準備をあれこれ考えているうちに、私がこだわり続けている「技術論・上達論」を土台に説明できそうなところまで来ていると感じているので、これに挑戦しました。

 2~3日で終わると思っていたのですが、なかなかうまく説明できない。空手も武道も、技論も知らない人たちに説明するのは大変です。結局1週間かかってしまいました。まだ完全ではないのですが、だいぶわかりやすく説明できたと思います。この説明はもう1つのグループの指導にも使おうと思います。

 私の空手の大恩師は科学的武道論に基づく「上達論」確立の意義を次のように話していました。「理論があることで、運動神経の鈍い人でも不器用な人でも誰でもきちんと練習すれば強くなれる道筋を示した」。その理論の土台には唯物論弁証法がありました。大学物理学科でその唯物論弁証法の価値を感じ始めていた私は、この面でも興味津々でした。当時の大学空手部の先輩たちは「理論で強くなるわけがない」と馬鹿にしていましたが、私は理論を実証しようと本を片手に練習をし続けました。その成果が当時は滅多になかった学生としての参段取得になり、空手家としての道に進むことにつながり、監督としての指導面でも大きな成果をあげることもできました。

 その後、高校教員になってからはカウンセリングの学習、生徒指導・担任などの方法を空手の学びを基に身に付けてきました。高校物理の改善と成功もこの学び方が大きな成果につながったと感じていました。しかし、このあたりは「経験主義的な成果」です。これを「空手(武道)の技の上達論」と同様に「授業者スキルの上達論」として整理するには、「事実が不足」していました。
 高校を定年退職し、偶々名前が知られるようになったので、全国の多くの学校の授業をみせてもらいました。悩む先生たちの授業スキル向上の支援もしてきました。それらの体験と大恩師の理論がようやくつながってきました。目指すところは「教師を目指す人たちが才能の有無に関係なく、誰でも〈正しい練習をすれば〉授業が上手くなる」道筋を示すころです。

 同時に時々武道や格闘技を学んだ人が社会人として偏ることがあります。「乱暴な人・威圧的な人」になることです。大恩師の「理論」はこのことも乗り越えていました。教師としてのスキルアップを目指す人たちが確実に授業のスキルを向上できる道筋を示し、そのことが〈社会人としての成長にもつながる道筋でもあること〉を示したいと思います。「教職を再び魅力ある職業にする」ことも実現したいものです。
 19歳の時に大恩師に出会ってから50年目です。ようやく「恩返し」を始めることができそうです。

(*)「みんなのオンライン職員室」で行う「小林昭文授業改善ゼミ第3期」
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