「アリバイ作りのグループワーク」?

【授業研究】月刊誌の連載の中に思い付きで「AL型授業の教育実習生への指導方法」を書きました。これがきっかけで知り合いの先生からその方法やまとめ方の相談を受けました。そのついでに当該の実習生(=教育学部の4年生)Aさんを交えてZoomで実習の振り返りをしました。その雑談の中で出てきた話です。

 Aさんは色々な免許を取るためにすでに何週間も教育実習を体験していますし、教育大学には付属の学校もあるので現場の授業もたくさん見てきています。そのAさんは指導担当のB先生(=私の知り合い)の授業を見て感動したと言います。このB先生は私の授業の影響を受けて私の高校物理授業とよく似た授業を展開しています。

 その中で「今まで見てきた授業とは全然違いました」という発言が気になって詳しく聴いてみると、「なんというか『はい、話し合いなさい』と指示はするのですが、すぐに『やめて』になり、答えを先生が伝えて終わりなんです。だから、いわゆるアクティブラーニング型授業に疑問を持っていました」とのこと。

 「でもB先生の授業を見たら子どもたちが本当に話し合っていて、自分たちで理解を深めていくんですよ。これはすごい。私がやりたい授業はこの授業なんだと思いました。この授業と比較するとこれまで見てきた授業のグループワークはやってますよというアリバイ作りという気がします」と厳しい意見。

 思わず「それ教育学部付属の学校の授業の話?」と何度も質問してしまいました。かなりがっかりです。まあ、それはそれとしても「自分のやりたい授業はこれだ」と感じてくれただけでも良かったなと思いました。

 この発言を聞いて10年くらい前の経験を思い出しました。越ケ谷高校で授業をやっていた頃。別の教科の教育実習生の女性が私の物理授業を見学してくれていました。生徒たちのワークも順調だったので、声をかけました。すると黙って下を向いてしまいました。あれ?とのぞき込むと涙ぐんでいます。その場ではそれ以上触れないで授業を終わりにしました。あとで彼女が来てくれました。

  「さっきは済みませんでした」「いえいえ。私こそ気が利かずに声をかけてすみません」「感動してしまって、涙が止まらなかったんです」「?」
 「実習で授業も始めたのですがなかなかうまくできません。私が理想とする授業なんてできっこないと感じ始めていました。でも、ここに理想の授業がありました。そう感じたら涙が止まらなくなりました」

 これは私にとっても感動的な場面でした。実習生の多くが自信を無くし、教職を諦めると聞いたこともあります。私が提案している授業が実習生の希望になるならうれしいことです。今回のAさんがいずれは逞しい教員になって欲しいものです。そして10年前の彼女が今頃は良い授業者になっていて欲しいものです。

※秋から始まるオンライン連続講座の案内は以下です。
◎「みんなのオンライン職員室」はこちら→ https://minnano.online/
◎「Find!アクティブラーナー社」はこちら→https://find-activelearning.com/
◎「アクティブラーニング入門3(小林昭文著/産業能率大学出版部)」は
  こちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4382057744/

f:id:a2011:20200204054022p:plain

◎お問い合わせ、研修会講師等のご依頼はこちらへとうぞ。
  →akikb2★hotmail.com ★をアットマークに替えてください。