グループワークに介入はダメ!?(2)

【授業研究】「グループワークをやらせるときは指導者(授業者)はフロアを動いてはいけない。教室の隅から眺めているだけにするべきだ。先生がウロウロすると生徒たちは先生が近づいてきたから手をあげて発言したりするからだ」という意見について考察しています。

 その背景等については2020/7/29の記事を参照してください。今日のテーマは以下です。(2)この指導方法を続けると結局「放任」になりかねない。

 グループワークの最中に先生は教室の隅にいて生徒たちのそばには来ない。もちろん声をかけることもない‥が長時間続くと、次のようなことが起きると予想されます。

・意欲的な生徒は先生がいないので自主的に熱心に課題に取り組みます。
 壁にぶつかっても先生の手を借りることなく粘り強く取り組みます。
・成績下位の生徒は困ると友だちに質問して手助けしてもらいます。
・成績下位の一部の生徒は難しいので諦めてしまいました。
・成績上位の生徒は課題が終わってしまったので、まだ解けていない友だちに教えます。
・成績上位の生徒は課題が終わったので遊び始めました。
・成績下位の生徒は諦めてしまい、遊び始めました。

 真面目な生徒は一生懸命に課題に取り組むけど、そうではない生徒たちはさぼったり遊んだりします。時々、遊んでいる生徒は先生の顔色を窺いますが、遠くにいて近づく気配もありません。また遊び始めます。

 時には遊んでいる生徒に注意する生徒がいます。それで勉強し始める生徒もいます。それに反発する生徒もいます。言い争いが始まることもあります。教室中が落ち着かなくなります。時には先生に見えないようにイジメが起きるかもしれません。

 先生が本当に「教室の隅にいて、絶対に生徒に関わらない」を継続すれば、きっとこんな感じになります。この状態を「先生に教えてもらうのではなく自分や自分たちで自由に勉強できるからいい」という生徒もいるかもしれませんが、「先生は何も教えてくれない。自習と同じだ」という生徒も出てきそうです。「うるさい子を注意して欲しい」という意見も出で来るかもしれません。

 これは「放任」です。この状態を何日間も何週間も続けていくことはおそらく不可能です。その理由はいくつかあります。
・先生はいずれほっておけなくなります。「静かにしろ」と注意し始めるかもしれません。
・タイミングを見てお説教するかもしれません。
・他の教室からうるさいとクレームが来るかもしれません。

 やがて先生は「放任」し続けることができなくなります。その結果何が起きるかは(3)で取り上げます。[この項続く]

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