「板書・ノート」と「考えて書く」は別

【授業研究】新しい授業を研究する中でしばしば聞くのが「板書・ノートなし」に対する強い抵抗です。「書くことが思考力を鍛えることになるから、ノートをとらせるべきだ」という意見です。これは「書く」ことは「思考力を鍛えることになる」という事実を、度外れに拡大したものの見方だということができます。

 確かに「ゆっくりと考えながら書くこと」は思考力のトレーニングになります。板書を見て、まとまった説明を記憶して素早くノートに書くことができる子どもには、「板書・ノート」は充分に思考力トレーニングになります。

 しかし、「書くのが遅い子ども」「板書をまとめた記憶できない子ども」には無理な作業です。これらの子どもたちは、やむなく「少しずつ記憶して書く」ことになります。時には、漢字ひと文字を何回かに分けて板書を見て書く写す子供もいます。

 また、数学・物理などの難解な数式や図を理解しながら写すのもとても困難なことです。一瞬板書を見て、図を暗記できる子ども以外には、不可能と言ってよいほどの難しさです。

 実際に授業中の子どもたちの様子を観察すれば「板書・ノート」が「思考力を鍛えるために書く」とは全く違う活動になっていることはすぐにわかります。授業と言う「事実」を丁寧に観察して欲しいものです。

 そこで子どもたちの実情に合わせるなら、説明の時間には「板書・ノート」をやめて、子どもたちがゆっくりと「考えながら、自分のペースで書く」時間を確保することが必要だということになります。

 「導入」の段階では、「板書・ノート」をやめて、次のワークに進むための簡潔な説明に絞り込むことが必要です。

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