【授業研究】研修会でいただいた質問への回答です。
〈質問〉「パワーポイントのデータ(ppt)を作るときに気を付けていることは何ですか?」
〈回答〉
私は以下のことを気を付けていました。(1)なるべく短時間で作成できるような方法にする。(2)配色やアニメーションはできるだけシンプルにする。(3)説明する部分とそうでない部分を意識して作る。(4)ページ割を意識して作る。(5)生徒の意見を大事にする。
(1)なるべく短時間で作成できるような方法にする。
1年目に新しく作成するときに気を付けていたのは「練習問題」「解答解説」「確認テスト」などのデータ作成も含めて1時間以内にすることでした。理由は「仕事量を減らして、この授業を継続するため」ためでした。どんなに良い授業を作ったとしても、準備に忙殺されるような授業づくりをすれば、何年間も続けることは不可能だと思っていたからです。そのために具体的には次の原則を設定しました。
(a)図やグラフは全て教科書から取り出す。
(インターネットで延々探したり、自分で作成したりしない)
(b)順番・小見出しなどは全て教科書に合わせる。
(生徒はこの方が安心する。教科書との対応が理解しやすい)
(2)配色やアニメーションはできるだけシンプルにする。
アニメーションを生徒が喜ぶのは最初の数回だけでした。「先生、ぐるぐる回したりしなくていいよ」と何回か言われました。「労力をかけて生徒に嫌がられる」より、「労力を減らして生徒が喜ぶ」方が良いと思っていました。また、色についても生徒から「色々な色があると目が疲れる」「どぎつい色はインパクトが強すぎてイヤ」など言われました。背景は白、教科書要約のコメントの吹き出しの背景は薄い水色、注釈をする吹き出しの背景は薄い黄色などのパターンを決めていました。これが時間短縮にも役立ちます。複数の先生たちで分担作成の時にも役立つと思います。
(3)説明する部分とそうでない部分を意識して作る。
説明を短時間で終わらせ、生徒の主体的な学びを促進するには「読めばわかることは説明しない」ことにしていました。これはppt作成の段階で考えていました。そうしておかないと「練習問題」を選ぶ方針もたたないからです。逆に言えば、こうやってつくると出来上がったときには説明のシナリオもアタマの中には出来上がっています。pptを作った後に説明の仕方を考えるという無駄な時間はなくなりました。
(4)ページ割を意識して作る。
4スライドをB4用紙1ページに印刷して資料を作成していましたから、スライド数は4の倍数にすることを意識していました。紙の無駄遣いを避けることができます。8の倍数だと両面印刷でぴったりになります。毎回この授業をやっていると1回に1枚の無駄をすると年間で膨大な無駄になります。(1枚×30人×3コマ(1週間の時間数)×30週=2,700枚)。お金や時間に関するこういうコスト意識が大事だと思っています。
(5)生徒の意見を大事にする。
毎回生徒にリフレクションカードを書かせました。授業終了後、生徒が全員物理室を出て行くまで私は物理室にいました。安全安心を提供するために怒ったり批判したりしないようにしていました。その結果、生徒たちは色々な意見や気づき、要望を率直に伝えてくれるようになりました。それらが授業改善の大きなヒントでした。ppt作成についてもそれらが役に立ちました。お試しください。