「確認テストはどうやって作っているのですか?」

【授業研究】研修会でいただいた質問への回答です。
〈質問〉「確認テストはどんな方針で、どんな風につくっているのですか?」
〈回答〉
 「確認テスト」作成の方針は以下の3点でした。(1)安全安心の場をつくる。(2)内容理解について振り返りと気づきを促して内容定着の向上を図る。(3)私の作業負担を軽減する。それぞれについて述べます。
 まず「安全安心の場をつくる」ために、練習問題の中から2題を選び同じ問題を出題しました。ほとんどの問題が記述式の問題だったので、同じ問題でも図や説明を書き、計算過程を示し、答えを吟味する過程は物理の内容理解に効果があるという科目特性を活かしていました。ごくまれに穴埋め式の問題を出す場合だけ類似の別問題に差し替えていました。
 この理由は新しい問題だと「解けないかもしれない」と生徒が不安になると予想したからです。更にあちこちで説明しているように採点方法も工夫して安全安心の維持に心掛けました。(採点方法:(a)おおむねあっていたら丸、(b)間違いに気づいたら直してあげて丸、(c)途中までで終わっていたらそこまでが正しければ丸、(d)最後に大きな100点と可愛い花丸を付けて返す)
 「振り返りと気づきを促して内容定着の向上」を図るのも上記の構造からお分かりいただけると思います。仮に「100点、花丸」でも間違えた個所は友だちが直してくれていますから、「どこが間違い」で、「どうすれば良かったか」を理解することができます。×を付けたり、零点を付ける価値は何もないと思っていました。極端な言い方をすれば、×や零点を付けるのは生徒たち同士で傷つけあうのに近く、そういうことを繰り返していたら「安全安心の場」は損なわれ、対等な関係を基にした対話的な学びなど絶対に起きないと感じています。
 最後は私(教員)の負担軽減です。某出版社の問題集データベースソフトを使っていました。その出版社が出している物理の全問題集の問題・解答・解説がデータ化されていて検索できるようになっているソフトです。これを使うと簡単に問題を選びレイアウトできます。確認テストに練習問題と同じ問題を出せばPCの作業は実に簡単です。練習問題から2題削除するだけですから。
 私は授業改善で不可欠な要素は「授業準備の時間と負担を軽くする」ことだと思っています。そのうえで授業の質を上げる授業改善でなければ長続きしません。この視点に立つときにICT機器はとても有効です。準備の負担を軽くすれば対面の授業をやっている時の授業者の集中力・感情制御力が高まります。授業中の授業者のコンティションを最高にしておくことこそ、最も重要な授業準備だと思っています。徹夜で授業準備をする/させるのは良くない文化だと思っています。