「人気投票をやってはダメです!」

【授業改善】最近の授業改善の動きを見ていて、昔々、高校の制服改定を委員長としてリードした時のことを思い出しました。最初に自慢すると、この時、私が委員長として作った制服は某大手制服メーカーのその年のベストテンに選ばれました。その推薦もあったのか、あるテレビ番組で「今年のかわいい制服」として5校が選ばれたうちの1校に入り、紹介されました。校長には「デパートの制服売り場に転職できるんじゃないの?」と言われるくらいに、この分野に詳しくなっていました。
 その背景には制服専門店のバックアップがありました。彼に言わせると「学校の先生たちの制服づくりは間違いだらけです!」というのです。この話に興味を持った私は、「それを教えてよ。間違いではない、まともな制服づくりを実現するから」と彼を口説き、アドバイザーとしてついてもらいました。そのアドバイスの1つが「人気投票はダメだ!」でした。
 「民主的な」制服作成としてよくやるのが「人気投票」。候補の制服見本をたくさん並べておいて、先生たちや生徒たちに「これが良い」と投票してもらって得票の多い制服に決めるという方法です。「なんでダメなの?」と質問した私に彼の答えはこうでした。
「あれをやるとたくさん並べている制服の中で派手な物へ得票が流れるんです。色が明るいもの、リボンが大きいもの、などへ流れてしまいます。隣の制服と比較するからです。そうやって決定した制服を単独で見ると、やたらと目立つ色とリボンでできていてちぐはぐに見えるというわけです」
 今の授業改善の動きがこれと似たようなことになっていなければよいのですが‥。「より派手な授業が良い授業に見える」「より派手な授業をビデオや写真で紹介しようとする」「より派手な授業をつくって見せようとする」「より派手な授業を高く評価する」‥私の危惧であればよいのですが‥。