「パワポにしたら説明が増える?」ワンポイント・アドバイス(3)

【授業研究】最近、授業でパワポとプロジェクターを使う人が増えました。学校に機材が増えてきたのもよい効果をもたらしているようです。私が10年前からパワポを使い始めた端緒は、「絵が描けない」からでした。

 初めて生物を担当した時に説明用の絵を描けなくて困りました。(私は図はうまいのですが、絵は全然ダメなのです‥汗) 困っていた時に、若い先生がパワポを教えてくれました。偶々、県教委が各学校にプロジェクターを配置しました。それで、教科書の写真や、資料集の写真や絵を映して授業に取り込みました。生徒たちも珍しいし、わかりやすいし、大喜び。これは大成功でした。

 この時、私が注目したのは「絵を描く時間が短縮される」というより「描く時間がゼロになる」ことでした。「板書の時間がゼロになる」ということが、のちにグループワークで問題演習する時間を延ばすために有効だと思い立ちました。要するに、私は最初から「説明時間短縮」=「ワークの時間延長」のためのパワポでした。

 ところが最近、パワポを使い始めた先生たちの授業を見ていると違和感があります。パワポで説明している時間が長いのです。ある先生に尋ねました。「スライドの分量はこれまでの板書の量に比べて多いですか?少ないですか?」。回答は「板書しているよりも、とても多いです」でした。

「説明している時間はどうなりましたか?」

「同じか、少し長くなりました」

「教科書の進み具合はどうですか?」

「あまり変わりません。むしろ遅くなったかもしれません」

 あれれ?という感じです。どうやら「ICT活用」の目標に向けてパワポを使うことがメインだったようです。「主体的・対話的で深い学びの実現」という大目的に向けて、グループワークやペアワークやICT活用があるはずなのですが、本末転倒が起きているようです。

 で、ワンポイント・アドバイスです。パワポを使うときは、「板書していた時より説明時間が短くなる」ようにしましょう。その分、生徒の活動を増やすためにスライドを作りましょう。

 もう一つ。パワポで説明しても、「穴埋め」をつくるなどして、結局「ノートする時間」が長い授業も多々あります。ノート全般を否定するものではありませんが、パワポを使うことで、生徒が「写すだけ」になる活動が増えないようにしたいものです。

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