「小林さんが、何を言ったか全然覚えていません」

【雑感】研修会で高校の先生達に生徒役をやってもらいながら「高校物理」を受けてもらう体験を挿入しました。まあ、いつものことです。振り返りの中で、「では、演習をやっているときに私がどんなふうにファシリテーションをしたか、何と言って介入したか覚えていますか?」と質問したときの1人の参加者の発言が冒頭です。以前にも同様のことがありました。
 私はかなりこまめに各グループに近づき、声を掛けています。「あと10分間ですが、順調ですか?」「チームで協力できていますか?」「質問できていますか?」という具合です。これらは、授業の「ルール(態度目標)」に沿って質問しています。この時も同様に介入していますし、多くの場合各グループの誰かは反応してくれます。「順調です」「今は各自でやっているけど、これから話し合います」「わからなくなってきたので、質問しています」「教えてます」「あ、やばい。急ぎましょう」…という具合です。
 たぶん、冒頭の発言をした方も私の介入に「うんうん」とうなずいてくれていたような気がします。でも、ご本人は「覚えていません」なのです。これはたぶん「忘れる」のだと思います。私の全ての問いに対する回答が「OK」だったときに、これが起きるということのようです。つまり、この方は、集中して取り組み、順調に進み、確認テストも100点だったのでしょう。声を掛けたことも忘れられ、「先生がどこにいたかも知らない」というくらいに存在すら忘れられかねない状態がファシリテーターの真骨頂です。