「暗黙のルール」=「雰囲気」の重要性

【授業研究/ルール1】昨日も大学院で「模擬授業」。科目が物理だったので、私は生徒役を外れて、外から観察しました。すると、2つのグループに分かれた生徒役の院生さんたちは、物理が苦手な人も、得意な人も、楽しそうに話し合いながら授業に参加しています。
 「なぜ、こんなに和気藹々とした雰囲気で話し合えるの?」と疑問が湧きます。先生役の院生さんは、授業の始めに「グループでやります」「自由に話して良いですよ」「でも、私が説明したら聞いてね」「隣のグループの人と話してもいいですよ」などとはひと言も言っていないのです。
 これは、「大学院の授業」、それも「小林のアクティブラーニング特論」の授業を積み重ねていって「できあがった雰囲気」が「暗黙のルール」になっているのだと理解しました。
 このことは、あちこちの学校で私が物理の時間をお借りして、「AL型授業の実例紹介」として実際に授業を見せるときにも起きています。「初対面の先生」の授業を受けるわけですから、生徒達は緊張しています。いつになく、先生達が何十人も見学に来ているのも緊張を高めます。もし、そのまま始めたら、生徒達は「いつものいい子」たちになるのだと思います。つまり、「黙って、じっとしていて、ノートをとる」という授業態度です。
 でも、私はこう挨拶します。「初めまして。ちょっと変わった授業をするのでおつきあい下さい。何が変わっているかというと、授業中の態度です。ルールが違います。この授業のルールは『しゃべる、動く、質問する、説明する、チームで協力する、チームに貢献する』です。『黙って、じっとしていて、ノートをとり続けるのは悪い授業態度』です」
 たったこれだけの説明で生徒達は変わります。笑顔になります。笑い声や驚きの声が上がります。「ホントですか?」と質問が出ることもあります。「面白そうだね」「うん」と隣と早速話し始める生徒もいます。見学する先生達が「同じ生徒とは思えない」ほどに活発に授業に参加します。
 普通、先生は「授業のルール」を宣言しません。だから、「暗黙のルール」で動きます。「暗黙のルール」に助けられることもありますし、それに束縛されることもあります。いずれにしても、これを先生が意識し、生徒に「毎回宣言」して、確認・徹底することが重要なのだと感じています。