「アクティブラーニング型授業」に教育相談のスキルと理論が役に立つ4

  私の授業の中でパワーポイントとプロジェクターはなくてはならない重要な道具になっています。学校以外の発表をしたときにプロのインストラクターに「小林さん、パワポのプレゼンうまいですね。どこかで訓練受けたのですか?」と褒められたのはちょっとした自慢です。実際には訓練を受けたことなどなく、これも「教育相談・カウンセリング」の訓練のたまものでした。
 10年ほど前に生物の授業を担当することになりました。物理が専門の私は生物が苦手です。困りかねていた私に前任の若い生物の先生が「私が使っていたプリント差し上げます。お使いください」と1年分のプリントを渡してくれたほどです。で、それを使っていたのですが、困ったのは私は図はかけるのですが、「絵」は描けない。めしべや雄蕊、細胞の構造などを黒板に書いて説明ができないのです。困り切っていた時にパワーポイントを知り、挑戦しました。入門は県教委が整備してくれた「eラーニング」。役に立ちました。
 最初は「ユスリカの顕微鏡写真」を見せました。生徒たちは大喜び。「先生、すごい」の連発です。調子に乗ってもらったプリントをパワポのスライドに造り替えていきました。アニメーションを入れると生徒たちはますます喜びます。それで、こちらも寝る間を惜しんでも作ります。どんどん色々な機能を覚えては使います。
 ところが。しばらくするとアニメーションが不評です。「先生、もう、あんまり動かなくてもいいよ」「うん、うるさい感じがする」…。え?、そうなの? じゃもう少し減らそうか。「先生、いろんな色も楽しいけど、目がちかちかする」「先生、字が小さくて読めない」「先生、背景と文字の色の組み合わせが変わると読みやすいと思うよ」…そうかそうか。これはどう?こっちがいいかな?
 この繰り返しが私をパワポに習熟させました。アニメーションは最低限に。なるべく同じパターンで。文字を詰め込み過ぎない。あとで本を読んだところ、書いてあることはみんな生徒たちが教えてくれたことでした。
 私はこれを「教育相談・カウンセリング」の訓練のおかげだと思っています「目の前の人を大切にする」「目の前の人の話を傾聴する」などの姿勢が役立ちました。