生徒たち相手のALコーチとしての「初めての体験」は私にとっては満足のいくものでした。それは、コーチとして進行手順に沿ってセッションを運営できたという満足感でした。
しかし、しばらくすると不安になってきました。それは生徒たちがどんな気持ちだったのか確認していなかったからです。大人のセッションに比べると質問の数は少なかったのも気になっていました。科学部の生徒たちはどちらかというとおとなしい生徒が多く(いわゆるオタク系)、もともと発言が少ないのです。表情を思い出してみても、それほど楽しそうには見えませんでした。
ところが1週間ほどしたら、生徒が「先生、今度はいつアクションラーニングをやるの?」と尋ねてきました。「えっ、やりたいの?」「はい」「楽しかったの?」「楽しかったですよ。また、やりたいですよ」「どんなところが楽しかったの?」‥生徒たちの答えは要約すると次の3点でした。
①自分の意見が言えたこと、②質問してもらえたことはうれしかった、③自分の言うことをみんながきいてくれた、というものでした。質問しかしていないのに、生徒たちは「自分の意見が言えた」と喜んでいました。これは私にとっては意外な発見でした。そして大きな自信が生まれ、アクションラーニングの効果に対する信頼が高まりました。
その後、科学部では時々セッションを行いました。また、他の生徒の悩みごとの相談にも使ってみました。教員仲間でやったこともありました。いずれの場合も、「質問だけ」「リフレクション(気づき)を重視する」という基本方針の素晴らしさを繰り返し実感することとなりました。