C高校に勤務しているときにパワーポイントとプロジェクターを使った授業に切り替えて、最後の年にはほとんど全部の授業でパワーポイントとプロジェクターを使って授業を行っていました。2007年に越ヶ谷高校に異動してからもその形式は維持できました。まだ数少なかったプロジェクターのうちの1台を新参者の私に独占的に使わせてもらったことには、当時の管理職にとても感謝しています。
でも、当時の授業はパワーポイントを使うというだけで、ほぼ一方的な説明の授業でした。C高校の時から「いずれ新しい授業を」と機会を伺っていたものの、転勤したばかりで生徒の様子もよくわからず、とりあえず、「普通の授業」を始めていました。
本格的に取り組むきっかけとなったのは次の2つでした。1つは「学びあい(西川純・上越教育大学教授)」「協同学習(安永悟・久留米大学教授)」「学びの共同体(佐藤学・東京大学教授)」等々の本を読みあさったことです。これほど「新しい授業」が実際に広がっているのだということに驚きました。自分が考えていたことはすでに多くの人たちが取り組んでいるのだと思うと力が湧いてきました。
もうひとつは、同時期に越ヶ谷高校に赴任した新任のS先生の刺激でした。彼は私と同じ理科(生物)の教員でしたが、大学では生物を学び、大学院では教育学を学んでいました。そのため私が読んだ本について背景となる歴史や理論について実によく知っていて教えてくれました。そして、彼自身が「学校になれたら生徒主体の授業に切り替えるつもりです」と言うのです。
この2つのことが私の背中をぐっと後押ししてくれました。前期中間試験を契機に私は「新しい授業」に取り組み始めました。と言っても、紆余曲折がありました。この経過は次回に述べることとしますが、とにかく、1ヶ月後には次の形がほぼ定着していました。つまり、65分授業を、「解説(15分)」→「生徒同士の問題演習(35分)」→「振り返り(15分)」という流れで行うこととしました。