臨機応変(1)

【授業研究】私が講師を務めるオンライン研修会はおおむね次のパターンが定着してきました。「1 事前視聴用動画を配信する」「2 視聴後に感想や質問をスプレッドシートに記入してもらう」「3 オンライン講座ではすぐにブレイクアウトルームで感想や質問を共有する」「4 メインルームに戻って質疑応答」という手順です。

 ブレイクアウトルームの際にはあちこちのルームを覗きに行きます。どこでも活発な話し合いが行われていることを確認します。ブレイクアウトルームを覗きに行くときに私は多くの場合「ビデオオフ、マイクミュート」で入ります。目立たないようにするためです。こっそり入って、1~2分見聞きしてそのまま退出します。

 まれに「小林さん、内容についての質問を今しても良いですすか?」と声をかけられることもあるのですが、グループでの話し合いに支障がある内容ではない限り、「メインルームで皆さんと共有できる形で質問して下いね」と対応しながら、次のルームに移動します。ごくまれに入ったら沈黙‥と言う場面があります。「あれ?どうかしましたか?」と声をかけます。すると「今、Aさんが質問してくれたところでみんなが資料を読んでいました」などの回答があります。安心して次のルームへ移動します。

 これは私の高校物理授業の際のグループワークと全く同じです。私の授業を直接見た人の多くが「小林さんがこんなに動き回るとは思わなかった」と言うくらいに、私はワーク中に教室内を歩き回ります。そて各グループの様子と教室全体の雰囲気を確認し続けています。これとほぼ同じことがオンラインでもできるし、やっているということです。

 逆に言うとこの時間にメインルームにしてのんびりしている授業者・講師の方も多いようです。これは「対面授業・研修会」の時のファシリテーション・スキルの違いであり、大げさに言うと「グルーブ観」の違いです。私は黙ってみて回らないと各グループの様子は把握できないし、観察した結果に応じた適切な対応をし続けることが、ファシリテーターの基本だととらえています。

 この対応をいいつもし続けていて良かったと思う出来事が少し前にありました。その内容については次回です。[この項続く]

※秋から始まるオンライン連続講座の案内は以下です。
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5年10年後の学校教育は「二極分化」?

【授業研究】一昨日のオンライン講座の最後、参加していた方がチャットに書き込んでくれた質問を対話の相手の中島さんが拾い上げて質問してくれました。
「5年後、10年後の高校の授業は、どうなっていると想像しますか?」
私はこれに「二極分化しているいると思います」と答えました。これに補足しておきます。

 とっさに答えたものの、きちんとした根拠があります。それはこの数か月、コロナ禍の中で混乱する学校現場を直接見たり、現場の先生たちとZoom等で情報交換をしたり個別相談を受けてきた経験が基になっています。

 コロナ禍をバネにして飛躍し始めている学校があります。私が継続支援している某私立高校は「組織的な授業改善」に取り組み始めて授業が着々と変化しています。生徒たちの学び方も変わり始めています。

 ICT導入も進み始めていました。今年度中に全生徒にタブレット等の端末を貸与する計画でした。これを急遽繰り上げ、7月には全校生徒に貸与しました。校長の強いリーダーシップが発揮されました。

 9月になってこの学校では生徒に感染者が出ました。その生徒がいたクラスと濃厚接触者は1週間の自宅待機となりました。日曜日に感染が学校に知らされ月曜日から学級閉鎖と何人もの先生たちが自宅待機になりました。しかし、授業は平然と月曜日からオンラインで続きました。全生徒がタブレットを家に持って帰っているからです。

 更に驚いたのは自宅待機の先生が「授業を実施したこと」です。先生だけが自宅にいて学校にいる生徒たち向けにリモート授業を実施したのです。その前の第1波の時にもかなりのオンライン授業を実施していたこの学校の皆さんは、このことをさほどの事と受け止めずに平然としています。

 こんな学校がある一方で「授業改善の研修会を一度もやったことがない」という学校もあります。プロジェクターが全クラスに設置してあるのに使っている先生は1割にも足りませんでした。10年前の私の勤務校並みです。このような学校はたくさんあります。また教育委員会や教育センターの通信網の脆弱さと、教師に貸与しているPCにはwebカメラがないところが多いくらいです。

 このような現状を見ているので私は5,10年後の学校教育は「二極分化」していると予測しています。これは設備だけの問題ではありません。教師の力量の二極分化も進みます。すでにICT環境が整い、組織的な授業改善も始めている学校は5年10年たてば相当の力量になっています。特にメンバーが入れ替わらない私立学校の成長は目覚ましいものになるはずです。

 一方でICT導入が遅れている学校も多々あります。公立のみならず私立学校でも未だにその必要性を理解しない管理職もいるからです。このような学校に勤務し続ける先生たちは停滞します。設備がなければスキル向上はあり得ないからです。

 理解力のある若い先生たちは「遅れている学校」を退職することでしょう。そこにはスキルのない若い先生たちが次々に入り、大事な二十代にICTスキルも授業改善スキルも身に付かないまま三十代に突入することでしょう。

 だから「二極分化」すると答えました。これは恐ろしい予測です。公立も私立も授業料負担が軽減され「同じ教育」を受けやすくなったとみられています。そんなことはありません。どちらの学校に行くか、生徒・保護者にとっても、若い教員にとっても「恐ろしい二者択一」になりそうです。

 私はこの予想にかなりの自信を持ちつつ、でも外れて欲しいと願っています。

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Findアクティブラーナー社のオンライン講座

【授業研究】昨日、13:30~15:30の2時間にわたる標記のオンライン講座を担当しました。事前視聴用動画による非同期学習、オンラインでの同期学習、事後の非同期学習の構造にし、オンラインではブレイクアウトルームと質疑応答のみとしました。
 申込は100名を超え、参加者は100名弱となりました。この4連休は多くの学校で文化祭や体育祭のラッシュでしたから、参加しにくい先生たちは多かったと思います。その背景を考えると多くの皆さんに参加していただいて有難いと感じました。

 事前視聴用動画の再生回数は307回。事前にスプレッドシートに記入していただいた方は約60名。かなりたくさんかの方が視聴していただき、お忙しい中でも多くの方が記入していただきました。1週間前に書き込んだ方は2名。前々日で10名程度。

 記入が少ないので質問に回答したり感想にコメントを入れていました。ところが前日から書き込みが急増。当日の開催直前まで書き込みが続いたので、私もせっせとコメントを書き続けていました。最終的には約100個のコメントを書き込みました。事前の非同期学習で参加者に深い学びが起きることは理解していたつもりなのですが、読んでコメントを書き続けていると講師にも深い学びが起きることがわかりました。今後は積極的に事前にコメントしようと思いました。

 終了直後のアンケート結果は以下でした。
「とてもよかった+良かった」95.7%
「今日の講座で学んだことで取り入れたいことがあった」100%
「次もFind!オンラインセミナーに参加したい」100%

 「取り入れたいことがあった」=「役に立った」が95%というのはうれしいことです。コメントには「この新しい形式に満足した」というコメントがたくさんありました。私にとってはコロナ禍のお陰でこの数か月の間に工夫を積み重ねて作り上げた形式が多くの皆さんに承認していただいた気持ちになりました。

 他にも色々な気づきがありました。少しずつこのブログで書いていこうと思います。参加された皆さん、サポートしていただいたスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

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質疑応答だけの研修会

【授業研究】初めて伺う学校で対面での研修会を実施ししました。事前に打ち合わせをして、1時間の全体研修、1時間のコアチームの研修としました。全体研修を1時間というのはかなり厳しい条件です。

 そこで事前視聴用動画をつくりました。できるだけ視聴しやすくするために、第1部-約6分、第2部-約7分、第3部-約10分の合計23分間の動画をつくりました。事前視聴後にスプレッドシートに感想や質問を記入してもらうことにしました。このスプレッドシートへの記入は1/3くらいの人だったので少々心配していたのですが、スタート時に「視ていただいた人は?」と尋ねると全員挙手だつたのでひと安心。

 動画の中で自己紹介はしているのですぐにグループワークです。視聴しての感想や質問を話し合い書いてもらいます。スタート時のロスタイムもあったので残り45分間。これを全部「質疑応答」にしました。

 事前動画を視聴してくれているので質問は途切れることなく続きます。結局5分オーバーで終了しましたから、50分間の質疑応答を続けたことになります。寝ていた人は皆無でした。もし講義をしていれば90分以上かかる研修会の内容を1時間で済ませたことになります。対面研修だけどオンラインで動画を見てもらうというハイブリッド型研修会の強みを確認することができました。

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ハードで楽しい日々

【授業研究】今週末はハードです。木曜日は2つのオンライン講座の講師を務めました。金曜日(今日)は静岡県の高校に出かけて対面型の研修会講師を務めます。明日はオンラインの研修会講師です。

 こう続けて仕事があると、やることが色々です。「打合せ」「パワポや動画などの資料作成」「事前にアップされる動画視聴後の感想や質問の確認」「事前質問に対する回答記入」「終了後のスタッフとの振り返り」‥時々、予定表の「打合せ」の項目を見てもどの研修会の打合せなのかがわからなくなることもあります。

 忙しくなると生活のリズムはテンポアップします。だらだらぼーっとしている時間が少しずつ減ってきました。一時期のコロナ禍で閉じ籠っていた時期には無駄な時間がいっぱいでしたが、その時期の生活とはだいぶ変わってきました。ハードですが楽しい毎日です。明日の土曜日まで頑張ると連休もあるので少しゆっくりできます。

 もう一息、頑張ります。

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考えるヒント

【授業研究】対面で研修会講師を務めたり、オンラインで個別相談を受けたり、オンラインの連続講座で講義をしたり質疑応答をしたりしながら、月刊誌の連載原稿も書いています。やっていることは多様に見えますが、テーマは1つだけです。

 そのテーマは「授業改善と生徒指導」です。私のアタマの中ではこの場合の「授業改善」には個人の授業改善に伴う技術論と学校全体で取組むための組織論が含まれます。「生徒指導」には主に生徒と1対1で指導するときに必要な教育相談(カウンセリング)と担任や部活動顧問として大人数を指導する時のグループダイナミクス理論やリーダーシップ理論を含みます。

 従って、私は色々なことをやっているように見えますが、アタマの中では同じテーマについてのみ考え続けていることになります。これはとてもうれしいことです。多様な形態で動く方が考えが深まる気がします。

 実際、明日が締切の月刊誌の原稿(※)は昨日から手を付けて1日これに集中していたのでほぼ書きたいことは整理できました。あとは推敲と字数合わせだけです。3月号までの監修連載から衣替えして4月号からは毎回の執筆連載に変ったことも良いタイミングでした。現在書いているのは第8回原稿です。ようやく技術論的な背景を書く段階まで来ました。第10回あたりからは、現在、複数の現場で実施している事例を少しずつ紹介していくこともできそうです。

 書くことと、実践の現場であれこれやることとが、実にうまくミックスされている気がします。ありがたいことです。

(※)「月刊高校教育(学事出版)」に連載中の「授業改善のリーダーシップ」のことです。

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新しい連続講座の始まり

【授業研究】月曜日の午前は河合塾コスモ名古屋で「物理基礎」の授業。午後は大同高校に行き、夜は校長先生と会食。名古屋に泊まって火曜日は朝から大同高校。数人の先生たちの授業を見てアドバイスをしました。この時点で私にしてみると珍しく少々疲れを感じ始めました。

 夕方、新幹線で帰宅。夜に備えて車内ではアイマスクを使って熟睡。21時からのオンライン講座が始まりました。緩やかな枠組みからスタートしました。事前に配布した事前視聴用動画を見てもらったうえでの質問を皮切りに、何をテーマにしようか、どう進めようか‥などの話し合いです。

 具体的に出てきたアイデアは以下です。
「授業改善初心者だから入門的な内容が欲しい」
「実践していて出てくる問題を考えたい」
「そもそも授業改善とは何かみたいな本質的な問題を考えたい」
「組織的な授業改善をどう進めるかを知りたい」
「二項対立で苦しんでいる先生たちをどうまとめるかを知りたい」
「最後は論文をみんなが書いて出版したい」‥
などのテーマ案が出てきました。

これらは要するに「授業改善」とひと言で言っても内容はこれほど多様な問題が錯綜しているというとこです。この連続講座のテーマをどれに絞るかにも興味がありますが、私としては分割するのはもったいないと感じます。第1期の2~3ヶ月はこれらのテーマを探る期間でも良い気がします。

結局、テーマは決まらずに終了。オフラインで調整することになりました。このゆる~い始まり方はとても面白いと思っています。私自身がこれから数冊かそれ以上の本を書こうとしているのですが、そのテーマを考えるのにも役立ちますし、参加者と一緒に本を作ることにもなりそうです。

楽しいスタートになりました。

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