【授業研究】少し前の研修会のリフレクションカードで気になっているコメントがあります。リフレクションカードの最後の質問「現在、お困りのことや、取り組みたいことについて教えてください」の欄に書いてあったことです。[以下、引用]
・昭和の人は耳が遠くなります。
・そして、聞こえないと言えない(そういう態度を身に付けている)ので、
わかったふりをして勝手にしゃべり続け、
会話をそういうものだと思って生きている人がいます。
・(聞こえていないのではないかと)指摘するとけんかになります。
・そういう教師が職員室で主導権を持っていて、でかい声でしゃべり続け、
誰も止めないので、仕事になりません。
・管理職も見て見ぬふりです。
・生徒からの評判も同様です。[引用終了]
自分が教員だった時に、そういえば、大声でしゃべり続ける人がいたなあと思い出す年配の先生たちが何人かいます。
私自身も左耳に若干の聴覚問題を抱えています。高校生の頃にわかったのですが、特定の周波数に対する反応が少し鈍いのです。精密検査もしてもらったのですが、手術等の治療は困難であることと、さほど日常生活には困らないし、音楽専門職に就くわけでもないから「ま、いいか」とそのままにしています。その左耳は数年前から軽い耳鳴りが始まました。聴力検査では高校生以来の若干の聴力低下が毎回指摘されます。
それなので「耳鳴り改善」「聴力回復の〇〇メソッド」なんて本があると立ち読みします。それを見ていると「最近耳が遠くなったと感じても、それを周囲の人に言えない」「聞こえないと言えないで分かったふりをしている」「それなので、時々、トンチンカンな反応をしているような気がしてストレスを感じる」‥などのコメントが並んでいます。
私自身は聞き取れないことはあまりないのですが、正確に聞き取ろうといつも意識しているので、理解しにくい時はすぐに質問します。「〇〇なんですか?」「▢▢ってどういう意味ですか?」「え、もう一度言ってくれませんか?」という具合です。カウンセリング・トレーニングやグループワークなどのおかげか、私はこの種の質問はためらうことなくできるので、理解できない話題に「わかっている振りをしてストレスを感じる」ことはほとんどありません。
しかし、ある程度の年齢になるとこの種の悩みを抱える人も多いのだろうと思います。定年延長や再任用などで高齢の先生たちが職場に増えると、必然的にこの問題は増えているのだろうと思います。本人にとっても、周囲にとってもデリケートな問題です。この問題は「存在していること」を多くの人たちが理解することが必要ですし、「聞こえにくくなることは恥ずかしいことではない」と本人も理解して、質問することも必要だと思います。
研修会の時に、カードにコメントを書いてもらってグループで共有することがあります。そんな時には老眼の人のことを意識して「小さい字、薄い字が見えにくい人もいます。なるべき大きい字で濃い字で書いてくださいね」と案内します。次からは、聞こえにくい人のことも配慮しながら研修会を進めていこうと思います。
ある本には「聴力低下の一因は本人が人の話を聴こうとしないから」と書いてありました。こうなると「鶏が先か卵が先か」になります。ただ、若い時から「人の話を丁寧に聴こうとすること」は大事だということも、研修会で触れていきたいものです。
こういう高齢者に関わることを若い講師が言えば嫌味になったり、反発があるかもしれません。私自身が高齢者の域に入ってきたから言えることもあると感じています。このメリットはうまく活かしていきたいものです。
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