メディアスクラムによる封殺?

【授業研究】大学の授業準備をのんびりと進めながら気になっている本を1冊斜め読みしました。「2時間の学習効果が消える!やってはいけない脳の習慣(川島隆太監修/横田普務著/青春新書/青春出版社)」。この本は2016/8/2発売なので、以前にとりあげたスマホが学力を破壊する(川島隆太著/集英社新書)」2018/3/16発売より先に出た本ということになります。

 こちらの本の方が「LINE等の通信アプリの害」については強く具体的に警告してあります。更に「脳の形が変わる」という衝撃的な事実を画像入りで解説しています。どんなに勉強してもゲームをしてしまうと、その効果が打ち消される要因として「ドーパミンの過剰放出」を上げているところは恐ろしいほどの説得力があります。(p-76)

 しかし最も恐ろしいことが「はじめに」のp-5,6に書いてありました。

[引用開始]‥私は正直に言って、データを見て絶句し、自分の子どもたちにスマホを与えたことを大いに後悔し、たとえたくさんの「大人」を敵に回すことになったとしても、このまま見過ごすことはできないという強い思いに駆られました。

 これまで何度か記者会見を開き、スマホ利用のリスクに関して情報を広くお伝えしようと努力してきましたが、その都度、見事にメディアスクラムによって情報は封殺されてきました。

 明るい未来を担保する子どもたちの健全育成よりも、「大人」たちの今の金儲けの方が大事な社会に私たちは生きています。‥[引用終了]

 私が感じた、深刻な問題なのにマスコミやネット世界ではそれほど騒がれていない理由はこのメディアスクラムにあるのかもしれません。ずいぶん昔に「アルミニウム=アルツハイマー原因説」が出た時に当時指導を受けていた精神科の教授が同じように「企業やマスコミの圧力によってこの情報を広げることかできない」と憤りを語ってくれた時のことを思い出します。川島隆太氏のこの悲痛な叫びに私たち教育関係者は耳を傾けるべきです。

 本書では、兵庫県小野市や宮城県仙台市で学校現場で講演会などの啓発活動を行い、子どもたちに対する指導を始めていることも紹介しています。(p-41,56) 参考にしたいものです。

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