振り返り」の効果を裏付ける?(3)

【授業研究】「その「もの忘れ」はスマホ認知症だった(奥村歩著/青春新書/青春出版社)」の内容紹介の続きです。前頭前野の情報処理システムは次のように分類できます。

➀浅く考える部分―ワーキングメモリー
➁深く考える部分―前頭前野の熟考機能
➂ぼんやりと考える部分―デフォルトモード・ネットワーク

 スマホを使い続けるということは➀の部分を使い続けることになるために➁の部分を使わなくなり衰えることになります。更に➂の機能も使わなくなり衰えると言います。

 その重要な➂の機能とは「ぼんやりする機能」と言います。そして、この機能こそが人間を人間らしく保つ働きだというのです。いわばPCのスタンバイモードのようなものだともいいます。➀や➁の活動を止める、つまり情報収集や深く考える活動をやめると自動的に立ち上がるのがデフォルトモード・ネットワークなのです。この時に脳内では活動時の15倍ものエネルギーが消費されているという研究結果もあるといいます。

 この機能を維持することが「ひらめきやアイデアが浮かびやすくなったり、記憶力が鍛えられたり、脳の老化を抑えられる」と言います。

授業でいうなら、先生の話を聞いて板書したり調べたりするのは➀の活動で、それらの知識を応用して難しい問題を考えたり答案をつくったりするのは➁の活動に相当しそうです。では、➂は何か?どうやらこれが「振り返り」の時間に相当するようです。情報収集や問題解決・答案作成をひと休みして、「自分は何がわかったのか?」「わからないことは何か?」「何を感じているのか?」「次はどうするか?」などを考え始めると、➀と②の機能が低下し、自動的に➂が働き始めるということのようです。

 しかも、➀②に比べると15倍ものエネルギーを消費している?! これは私の授業の最後の振り返りの時間に生徒や学生がシーンとして集中していることからもうなずけることです。だから知識の定着も向上し、学び方もうまくなる、のだと解釈できそうです。[この項続く] 

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