共通する部分を探す

【授業研究】ある方から「全く勉強していないのに教育相談係になるので、手ほどきしてください」と依頼されました。ついでに「大学の先生に相談したら、小林さんの『アクティブラーニングを支えるカウンセリング24の基本スキル(小林昭文著/ほんの森出版)』を紹介されました」とうれしいおまけの話もついていました。

 さてどうしたものかと思いながら、教育相談について昔書いたものをパラパラとめくっていて、「授業改善」について気が付いたことがあります。

 相談室の技法としてはよく知られている方法だと思うのですが、意見が平行線になったときには、「お互いの意見の共通部分を探す」ということをします。例えば、生徒の問題について保護者の意見と教師(相談係)の意見が食い違うことは良くあります。これをそのまま対立させたままに進むと、保護者がモンスター化することもあります。こういう時に両者の共通部分を探します。典型的な進め方は「私たちはA君(生徒)の気持ちを大事にするという点では一致していますよね」「私たちはA君の利益を最大にしたいということでは一致していますよね」などと確認します。

 授業改善について思い出したのは「先生は説明しすぎ」という話です。あちこちでこの話は出ます。その時のニュアンスは「B先生は説明しすぎるから駄目なんだよ」です。これは「私は正しくて、あなたは間違えている」という対立を生みます。その結果が「説明しなければわからないだろ」「いえいえ、説明しない方がわかりますよ」という水掛け論になります。

 上記の技法を使うと「私たちは生徒の理解を高めようとしている点では一致しているのですよね」と共通部分を確認することから始まります。そうすることで「対立関係」が、同じ問題解決に進む「仲間」になります。こんな視点で相談係をとらえ返すと、相談係の仕事は生徒・保護者・先生たちに「対立の少ない対話のスキル」を教えていくことと言えるのかもしれません。

 相談係初心者に向けて本を書けるかもしれない‥という気になってきました。夏休みには某県で教育相談の研修会講師も務めます。そのテーマもこの方向で設定しようかと思いつきました。

◎本文中に登場した本は以下です。

 アマゾンはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/4866141018

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◎小林のHPはこちら。研修会講師のご依頼もこちらからどうぞ。

  →http://al-and-al.co.jp