導入の説明時にはおしゃべり・遅刻を注意しない。

【授業研究】「対話的な学び」を活用するグループワークを授業の中心に据える場合には、そのワークの前の説明は簡潔かつ短時間を重視する方が効果的です。教科書やプリントを調べながらワークをやらせるのなら、その内容についての丁寧な説明も不要です。せいぜい、どこにどんなことが書いてあるというガイド程度で充分です。

更には、遅刻してきた生徒や、ぼーっとしている生徒、隣とおしゃべりしている生徒にも注意をしません。基本的には「少数の彼ら」よりも、「よく聞いている大多数」を重視します。これらの生徒に注意をしたり、説明を繰り返したりすると、まじめに聴いている生徒たちの集中力は低下します。以下、3つの補足があります。

第1は「遅刻する生徒を注意すると遅刻が続くから」です。アドラーは「不適切な行為に関わらない」という言い方をします。その理由は、子どもが不適切な行動をするのは承認欲求の現れだといいます。注意されるとその欲求を満たすことになります。だから、その子どもや他の子どもたちの遅刻が続くと言います。私も経験的にこれに賛成です。

第2は「聞いていないように見える生徒も案外理解している」からです。私たちは姿勢正しく、こちらを注視して、時々うなずいてくれたりする聞き方が「聴く姿勢」だと感じています。しかし、実際には少しくらいよそ見していても、隣とおしゃべりしていても、「理解している」ことは多いものです。私たち教員も、職員会議中の校長の話を「行儀よく聞いている人たちばかりではない」のと同じことです。

第3は「理解不足の生徒がワークに存在することはプラスになることもある」ということです。例えば、みんなが動き始めても何をして良いかわからない生徒は「え?何をするの?」と質問します。質問は周りを巻き込む効果があります。「〇〇をするんだよ」と誰かが説明してくれます。それ聞いてきた別の生徒が「あ、そうだったんだ。勘違いしていた」と気づくこともあります。つまり、対話や協働のきっかけになるということです。

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