迷ったら生徒に質問する‥

【授業研究】最近、研修会のときやメールでの質問で気が付いたことがあります。それは多くの先生たちは授業で困ったことは「自分で解決する」という姿勢が強いことです。それは「責任感が強い」ことではあるのでしょうが、「対話的な学び」が苦手と言うことなのかもしれません。

 具体的には「グループの人数は何人が良いですか?」「グループ替えはどれくらいの頻度が良いですか?」「グループワークとペアワークはどちらか良いですか?」「例題は説明した方が良いですか?しない方が良いですか?」‥などの質問です。

 私はこれらの質問に対して一般論を語ることと、私がどうやっていたかを説明することはできますが、その先生の特定のクラスでは何が適切かをアドバイスすることはできません。生徒や学校の状況、授業者の能力、生徒と授業者の関係性などによって千差万別だからです。

 そこで私は「生徒に質問することが有効ですよ」と回答しています。「グループの人数を今日は4人したけどこの人数は適切ですか?感じたことや改善案・提案などをリフレクションカードに書いてください」とすることです。或いは「例題を説明する授業としない授業を2回ずつやってみますね。そのあとでどっちが良いかをリフレクションカードに書いてくださいね」と指示します。こうすることで「一般論ではなく、目の前生徒たちにフィットした解決策の方向性」が見えてきます。

 しかし、どうも先生たちは生徒たちにこういう質問をすることが苦手か、そんなことをしてはいけないと無意識にブレーキをかけているような気がします。「先生中心」から、「学習者中心」へ移行しているのですから、生徒たちとの上手な対話を心がけてほしいものです。

 ある時には「じゃ、賛成が何人、反対が何人。だからこうする、と言うのが良いですか?」という質問がありました。私はそうしなくても良いと思っています。仮に反対多数でも授業者・教育者の立場に立った時に「生徒の成長に必要なことは実施する」覚悟は必要です。その場合でも、生徒に「質問する」「意見を聞く」「気持ちを受容する」‥などは大切なことです。

 「アクティブラーニング」という言葉もなかった時代に物理授業を変えた私にとっては、他に参考にすべき事例がなかったので生徒に質問するしかなかったのが怪我の功名なのかもしれません。今の先生たちは情報が多すぎて、そちらを調べることに意識が行き過ぎて、目の前の生徒たちの気持ちを忘れがちなのかもしれません。どうぞ、恐れずに生徒に質問してみてください。そうすれば「1人では解決できない問題を解決できる」かもしれません。このプロセスを「対話(ダイアローグ)」と言います。 

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