闘病モードになってきた山田さん

【山田さんの思い出➄】医者に見放されて泣いていた山田さんは、翌週には力強さを感じる顔になってきました。「旦那に言われました。『病気を治すのは医者でも薬でもなく、香織自身なんだから』と。そうだと思いました。できるだけのことをやることにしました。小林さんが通っている漢方と鍼灸のお店を紹介してください」と言い出しました。

 私は大学に勤めるようになってから体調をかなり悪くしていました。移動の多い日々が原因だったようです。色々なことを試してみたのですが、どれもイマイチ。偶々、大学のそばにオープンした鍼灸&漢方の店に冷やかし半分で行ったところこれがピッタリ。現時点で約1年になる漢方の効果は大きいものがありました。身近でこれを見ていた山田さんは治療の選択肢の1つにこれを入れたということです。

 他にも沖縄の温泉水で身体を温めることも始めました。癌治療を受けている人たちの「患者の会」にも参加しました。標準治療にとらわれない治療をしている医者を見つけてきてこれも始めました。丸山ワクチンの治療をしてくれる医師も苦労して探してこれも始めました。毎日のようにどこにいってどんな治療を開始した、どんな情報を得た‥とメッセンジャーや電話で知らせくれました。

 9/23(日)の都内で開いたオープンセミナーには山田さんも出席してサポートしてくれました。元気でした。私は彼女が会場に来てくれているととても気持ちが安らぎます。時々目が合うといつもニコリとしてくれます。授業参観に来ている母親と目配せする子どものような気持ちでした。10/20(土)には大阪で某社のバックアップを得て新しいセミナーにチャレンジすることになっていました。私も山田さんもこれにワクワクしていました。その某社は山田さんの交通費も出してくれると言うので山田さんも行く気満々でした。とは言え、「泊りはいささか心配です。旦那も不安視しています。決断はぎりぎりでも良いですか?」「いいとも。ドタキャンでも気にすることはないよ」などと話していました。

 前日に「お腹が張ってきて痛いので、明日はやめます。残念です」とメッセンジャー。でも、10/20(日)には「セミナー成功、よかったです。私も痛み止めが効いて楽になりました」と返事が来ました。「でも体調は悪いです。2週間前にバスケしたとは思えないほどです。明日、病院に電話してエコーをとってもらう調整をします」。このころ、かなり強い痛み止めを使い始めていました。

 それでも山田さんは気丈でした。電話で話しても、あの時に泣いた山田さんではありませんでした。「癌と闘う戦士」のような力強さと明るさがありました。私は仕事を辞めさせたいのですが、なかなか言い出せなくなっていました。「奇跡が起きてほしい」と願うようになってきました。[この項続く]