「模造紙の役割は何ですか?」

【授業研究】研修会でいただいた質問に対する回答です。
〈質問〉「小林さんの生徒向け授業ではグループ席にして、そのテーブルに模造紙を貼っていますが、その役割は何ですか?」
〈回答〉
まずは授業を受けた生徒の感想から抜粋しました。以下のような感想が出てきます。
「テーブルの中央にラクガキの紙がおいてあることで、自分の考えを相手により伝えやすくなり、より話し合いが活発に行えてよかった。全く違う視点からの意見をきくことで、波の様々なことの理解がより深まったと思う。」
「大きな紙が机に貼ってあるので、他の人の考えも見ることができるので、あった方がわかりやすかった。友達としゃべりながらできたので、よくわかる。」
要するに以下の効果があると思われます。
(1)自分の考えを伝えやすい。(すぐに書ける、大きく書ける、たくさん書ける)
(2)人の考えを理解しやすい。(大きく書いてくれる、見やすい)
(3)ノートやプリントに書くと「共有」の感じがしない。
(4)私の授業では「気持ちがなごむ」と生徒たちが言っていました。一時期「なごみペーパー」という言い方が流行っていました。漫画やしりとりなどもたくさん書いてありました。「これがコミュニケーションをスムーズにするんですよ」などと生徒たちは笑っていました。
 以下は私が気を付けていたことや感じていたことです。
(5)模造紙は貼りっぱなしだとコストもそれほどかからない。私は全て物理室で行っていましたから「2年生の物理」「3年生の物理」「3年生の物理演習」の授業でずーっと貼りっぱなしでした。ほぼ真っ黒になるまで貼り替えませんでした。
(6)実際に使っていたのはロール紙上の模造紙でした。これだと大きな実験テーブルの端から端まで引き延ばして貼ることができました。
(7)貼り替えは生徒たちに任せていました。ロールの模造紙、はさみ、セロテープを物理室の一角にまとめておいておいて、セルフサービスでやらせていました。これだけでも、「主体的な学び」や「対話的な学び」を促進させるきっかけになります。
(8)ホワイトボードも考えたのですが、ホワイトボードではマーカーに持ち替えなくてはならないので生徒には賛成してもらえませんでした。「持っている鉛筆等ですぐに書ける」のが生徒たちにとっては大きなメリットだったようです。
(9)貼りっぱなしだったので、1日に1回は書いてある内容を点検していました。教育上好ましくない落書きは消していました。これは結構重要だと思っています。
(10)これを思いついたヒントはワールドカフェです。
(11)実はつまらない理由がもう1つありました。それは実験テーブルへの落書き防止です。物理室の黒い実験テーブルの表面に落書きするのは生徒たちは大好きです。このため、これを消すのにいつも苦労していました。模造紙を貼ることで実験テーブルへの落書きはなくなりました。
【私が書いているのは全て私の実践を見たり聞いたりした方からの質問に対する回答です。私の授業実践が「唯一の正解」というわけではありません。私の授業が成功していた背景には、科目特性、生徒・学校の特性、小林の得意(生徒指導、カウンセリング、教育相談等)、などがあります。ただ、一般論だけを論じても伝わりにくいので私が何をしているのか、私が何を考えているのかを具体的に書いています。この通りにやるべきだといいたいのではなく、この実践を「ヒント」にして、みんなさんの実践を変えるきっかけになったり、議論を始めるきっかけになったりすることを期待しています。】