「チームで協力できていますか?」と質問したら「できなーい」と生徒。どうすればいいの?

【授業研究】研修会でいただいた質問に対する回答です。
〈質問〉「「チームで協力できていますか?」と質問したときに『できなーい』『わかんないよね』『できなくてもいいよ〜』というような、良い反応が無い生徒に対してどのように対応したらよいですか?」
〈回答〉こういう否定的な子どもたちの反応に対して私たちはつい「なんでできないの?」「どうしてわかるようにしようと思わないの?」と言います。これは質問と言うより詰問になりがちです。そんなときに使える方法があります。お試しください。
 それは「どうすれば協力できると思いますか?」「わからない問題をわかるようにするのにはどうすれば良いと思いますか?」「みんなで100点取るには何か良いアイデアはないですか?」などの質問です。これはカウンセリングの中でもブリーフセラピーが得意とする質問です。過去にさかのぼる「原因追求型の質問」ではなく、未来を志向した「問題解決型の質問」をしようということです。これにより、生徒たちは「責められたというプレッシャー」をあまり感じないで、前向きになりやすいと言われています。
 私もかなり頻繁に使っていました。そうすると生徒の反応は以下のようになりました。「少し雑談でもすると話せるかも」「自己紹介してから問題やろうか?」「(別のグループにいる)〇〇くんなら、わかると思うよ。聞いてみようか?」「4題全部は無理だから、2番までにしてもらえばできるかも」‥など実に多様です。時には「先生、前の時間の体育で走りすぎ。みんなくたくたなんだよ。ちょっと休憩してからでもいい?」ということもありました。
 これらに対して「いいね、やってみてください」と水を向けたり、「うーん、せめて3番まではやってほしいんだけどね~。1番が終わったところで再調整しようか?」「じゃ、3分くらい休憩してから頑張ってみる?」と交渉したりしていました。これですべてうまく行くわけではないのですが、今日の時間に「詰問して対立的になると」、次の時間にも悪影響が残る気がしていました。「わからない」「できない」と自己開示してくれたことを、できるだけ受け止めて、信頼関係を維持しようと考えていました。
 ただ、これらは、基本的には「正常で、健康な生徒」を前提にしています。否定的な反応が続く生徒に対しては、担任や相談係、保健室などから情報を得て分析をしていくとこも必要だと思います。精神的に問題を抱えている生徒は、ワンウェイに近い授業をしている時にはあまり目立たないものですが、ペアワークやグループワークを取り入れると目立つようになります。私はこれを良いことだと思っていました。早めに問題を発見して、対応できるからです。
【私が書いているのは全て私の実践を見たり聞いたりした方からの質問に対する回答です。私の授業実践が「唯一の正解」というわけではありません。私の授業が成功していた背景には、科目特性、生徒・学校の特性、小林の得意(生徒指導、カウンセリング、教育相談等)、などがあります。ただ、一般論だけを論じても伝わりにくいので私が何をしているのか、私が何を考えているのかを具体的に書いています。この通りにやるべきだといいたいのではなく、この実践を「ヒント」にして、みんなさんの実践を変えるきっかけになったり、議論を始めるきっかけになったりすることを期待しています。】