アクションラーニングとアクティブラーニング(1)

【授業研究】11月12月に行った研修会のリフレクションカードが次々に届きます。その中に「アクションラーニングとアクティブラーニングはどう違うのですか?」という質問がありました。私がしばしばアクションラーニングの話をするので、混乱しているのだと思います。ここで少し、整理をしておくことにします。

 簡単に言えば、「アクティブラーニングは学習の質の表現。転じて授業方法や授業の考え方にまで用いられることがある」「アクションラーニングは会議方法」です。

 まずはアクティブラーニングから。意味も標記もばらばらです。文部科学省はアクティブ・ラーニング、溝上慎一先生はアクティブラーニング。私も「・」なしのアクティブラーニングを使用しています。

 溝上慎一先生の定義は以下です。「一方的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなどの活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う」【出典「アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換」東信堂

 要するに、学習には「受動的学習」と「能動的学習」と区別することができると言い、その区別を「ただ聴いているだけ」よりも消極的な学習を「受動的な学習」と区別して、それより積極的な学習を「能動的な学習(アクティブラーニング)」と定義しました。更に、「聞いているだけでないなら、能動的な学習」と溝上先生は補足していました。この定義に基づいて、生徒に「アクティブラーニング」を引き起こす授業のことを「アクティブラーニング型授業(AL型授業)」と呼ぶことを提唱したのも溝上慎一先生でした。

 しかし、この定義をもとに色々な意見が出てきました。「聴いているだけでも、能動的な学習は起きている」「そもそも学習という活動は能動的だ」「話したり動いたりしていればアクティブラーニングだ」「いやいや、話していれば動いていればアクティブラーニングというのはおかしい」「ひとコマの授業の中でも先生が説明している時はアクティブラーニングじゃない」等々です。

 そこで、授業改善の実際の現場では「講義だけだとだめらしいからグループワークを入れよう」「ペアワークやグループワークがちょっとだけでも入っていればアクティブラーニングらしいよ」「体育や家庭科は身体を動かしているからアクティブラーニング。変える必要ないよね」「工業や商業の授業もいつも手を動かしているからアクティブラーニング」‥等々の意見が続出して、何がなんだかわからなくってきたという感じがします。

 そこで文部科学省はこの言葉を使うのをやめて「主体的・対話的で深い学びの実現」と表現しました。まずはこここまで。アクションラーニングについては明日取り上げます。【この項続く】

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