〈5 生徒役の体験を段階的に振り返る構造を入れる必要がある〉

【授業研究】最後に示す「オープン講座11/11(土),12(日)」の特徴とそれに込めた私の思いを記します。

〈5 生徒役の体験を段階的に振り返る構造を入れる必要がある〉

  「授業体験」を取り入れた授業改善のための研修会は増加している気がしますが、「体験」=「学習」ではありません。体験だけで終わってしまうと、単なるリクリエーションになってしまいます。そこで、必要なのは「振り返り」と「気づき」をもたらす構造です。

 ただ、この振り返りも、「生徒役として授業受けた感想はどうでしたか?」と質問して、各チームで話し合わせるか、「感想カード」に書かせて終了ではもったいない気がします。私は3つの視点で段階的に「振り返る仕組み」を作ると効果的だと思い、実践しています。

 1つは「ロールプレイ」の段階的な振り返りです。まずは「生徒役として感じたこと」を振り返ります。すると「物理と聞いてぞっとした」「問題見て全くわからなくて嫌になった」「隣の人が教えてくれたので、できるかもと希望が持てた」などのリアルな感想が出てきます。

 次に「現実の自分・教師としての自分」の立場に戻って、感じたこと・気づいたことを振り返ります。すると、「1人だったら何もできなかったと思うけど、チームに支えられてできることがわかった」「先生がいなくても、解答解説を見ながら、仲間と相談すると案外解けると思った」などの気づきが出てきます。

 これらは「生徒役・先生役」としてのロールプレイがきちんとできていないとなかなか出てこない気づきです。更に授業改善の具体的な行動につなげやすくするために、私は次の質問をします。「この体験をヒントに、〈これからやってみよう〉〈ちょっと取り入れてみよう〉〈そのうちやってみよう〉と思うことは、どんなことですか?」

 すると「解答解説を配布してみる」「確認テストをやってみる」「話し合いの時間を長めにとってみる」などのコメントが出てきます。このように、次の行動につながるコメントが出てくると、研修会後の変化の可能性は高まります。

 以上の「振り返り」は、「ロール(生徒役)から現実の自分へ」という段階的な振り返りをしている側面と、「感情(気持ち)」→「気づき」→「行動計画」という段階的な振り返りを行っているということができます。

 2つ目の視点は「個人からグループ」への展開です。私は上記の2つの側面での振り返りは、まずは個人で行うプログラムにしています。それは、「感じたこと・気づいたこと」を振り返るには自問自答が効果的だからです。そのために、ここでは色別の付箋紙に書き出すことをしてもらいます。「内面に深く入る人」もいます。個人的にプロテクトしてもらうために「あとでお互いにカードを見せ合います。他人に見られては困ることは書かないでくださいね」とひと言添えておきます。これは、生徒向けでは特に重要な構造です。

 そして、「カードをテーブル上に広げて、お互いのカードの内容を見て、質問したり答えたりしながら、授業改善の具体策について話し合ってください」と指示します。これにより、「自分の気づき」と「他者の気づき」を交換でき、そのことによってさらに深い気づきが生まれます。これらの構造をつくることで、「生徒役」としての「体験」が、「深い理解」や「新しい行動」に繋がります。体験が学習に転換するとはこういうことだと思っています。 

◎以下、「新しい講座」の案内です。

★「入門講座1」2017/11/11(土) 16:00~19:00     東京・恵比寿

  「こくちーず」はこちら→ http://www.kokuchpro.com/event/ALK1111/

★「入門講座1」2017/11/12(日) 13:30~16:30 東京・恵比寿

        「こくちーず」はこちら→ http://www.kokuchpro.com/event/ALK1112/

 ◎「入門2」はこちら→ https://www.amazon.co.jp/dp/4382057477

f:id:a2011:20170719070800p:plain