「次になにをするのかを言ってくれるので‥」(2)

【授業研究】 ほぼワンウェイに近い形式であっても、生徒・学生や大人の参加者に「主体的・対話的で深い学び」を実現させる方法を、私は研修会講師として編み出してきました。この方法がかなり成果を上げていることは以下の2つの事実から確信できます。1つは昨日示したようにリフレクションカードの中に「安心して取り組めた」などのコメントが多数出てきていることです。

 もう1つは、どこの研修会でもたくさんの質問が出るようになってきていることです。管理職の方が「うちの学校でこんなに質問が出た研修会は初めてだ」「あの人が質問するのを初めてみた」とコメントすることが多いのは、その学校の特殊性や参加者の個性に関わらず、このやり方が成果を上げていると言えます。

 では、「じゃ、終わったら質問を話し合ってね」と言えばよいか。これは怪しいものがあります。私が意識していることや、経験してきたことをもとに補足をしていきます。

〈A スタート前のアイスブレークの必要性〉

 私の研修会では研修会が始まる前か始まってから「アイスブレーク」を入れています。初対面の方が多い場合には、研修会開始5分くらい前に以下のように説明します。「あと5分で始めますが、それまでの間に各テーブルごとに名刺交換や自己紹介をしておいてください」。それだけです。

 そのあと入ってきた方の中には私を見つけて「今来ました。今、何をやっているのですか?」と質問する方もいます。私は「おはようございます。よろしくお願いします。今、何をやっているかはご自分のグループの方に尋ねてみてください」と答えます。

 時には受付などにサポートしてくれるスタッフが揃っていることもあります。そのスタッフの方が、自己紹介が始まってから入室してくる人たちをテーブルに案内しながら、「今、自己紹介をやってもらっています」と説明してくれます。私は「しなくてよいですよ」とお願いしています。「もし聞かれたら、同じテーブルの人に尋ねてください」と言ってくださいと指示しています。

 なぜか。同じテーブルの人に「質問するきっかけができる」からです。「対話的な学び」が始まりやすいからです。自ら質問することで「主体的な学び」のきっかけにもなりうるからです。

 初対面の人がほとんどいない校内研修会の時は次のように指示します。「各テーブルごとに、いわゆるアクティブラーニングについて、〈知っていること、やっていること、うまく行っていること、困っていること〉などのどれかについて話してください。時間は5分です」。このようなアイスブレークがないとすぐには話し合うのが難しいようです。

〈B 最初は「印象に残ったこと」から発言が始まる〉

 狙いとしては「質問を考える」方が良いと思うのですが、いきなり「質問を考えてください」と指示すると沈黙が続くことが多くなります。何度も同じメンバーで繰り返している大学の授業であれば、ワークの後に「質問を考えてください」の指示でも有効なのですが、校内研修会などでは難しそうです。

 そこで「印象に残ったことや質問してみたいことについて話し合ってください」と指示しています。指示したのちにテーブル間を歩き回りながら話を聞いていると、大半のグループで最初に出てくるのは「〇〇の説明でびっくりしたなあ」「板書・ノートなしで成績上がるってすごいよねぇ~」などです。そうすると「あ、私もびっくりした」などの発言が続きます。初回はそれだけで終わるグループが多いような気がします。このあたりは、気を付けたいものです。(この項続く)

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