トップを走る人たちだけではなく‥

【授業研究】今、「AL祭り」などと揶揄されることがあるそうです。まあ、確かに色々な勉強会、セミナー等は花盛り。イベントには多くの人たちが参加しています。産能大のイベントでも多い時は300人を超えます。私は、最近は自分が登壇する以外には、あまり出席しなくなりました。反対するわけではなく、単純に予定が立たないのと、今年度は体力回復を目標にしているからです。
 そのためか、ふと思いついたことがあります。こうやって動いている「熱心で、意欲的で、実際に活動できる人」は何パーセントくらいなのだろうと。産能大のイベントを中心に考えると、ここに関係して動いている人たちは、1000人程度でしょうか?他の会に関わって動いている人たちも大勢いますから、その数倍はいそうです。仮に5千人だとすると、全教員の何割なのでしょうか?
 高校教員の人数はざっと50万人、大学教員を除く「教員」の人数はざっと100万人です。ということは、精力的に動き回っている人たちは、高校の教員の約10%です。全教員を分母にしたら5%に満たないのだと思います。
 一方で私は学校単位で開催される研修会に頻繁に伺います。年間100校として、この3年半で350校、各学校40〜60人くらいですから平均50人で換算すると、17,500人。2万人くらいの方とお会いしたことになります。出かけて行った各学校で、色々なイベントに出かけてくる人がいる割合は、1人いるかどうかです。仮に200人いたとしても、200人/2万人は1%です。現場での感覚では、色々なイベントに精力的に動き回っている人の人数は1%程度ということになります。
 要するに「AL祭り」などと騒がれてはいるものの、様々なイベントに登場している人たちや、雑誌等に掲載されている人たちは、重なっている人たちも多く、多く見ても数%、もしかしたら1%程度の人たちを指しているかもしれないということです。
 このわずかな人たちが精力的に動いているおかげで、「授業改善」が一種のブームのようになっていることは、私は悪いことではないと思います。歴史の転換のきっかけは、こんなものだと思うからです。
 ただ、私は誰に向かって働きかけるのかを考えています。私自身の現役教師時代を考えると、私はこの数%に入る教員ではありませんでした。授業や部活指導で外に出かけることはほとんどできませんでした。定年退職するまで、世間に注目されたことはありませんでしたし、雑誌等に掲載されたこともありませんでした。外部のイベントに登壇したこともほとんどありません。ついでにいうと、内地留学などで大学院に行ったこともありませんし、県教委の推薦で文科省の中央研修などに行かせてもらったこともありません。いじけているわけではなく、「私には無縁な世界」と思っていました。私の仕事は、毎日、目の前の生徒を大事にしながら物理授業を改善し続けることだと思っていました。そのことが、定年退職後にどうつながるのかなど何も考えることなく生活していました。
 私は、私と同じように仕事をしている先生たちを対象にしたいと思っています。なぜなら、私はそのひとたちと最も共感できるからです。それに何より、その人たちこそ、多数派です。忙しくて、余裕がなくて、外に出ることができない、その人たちにお会いできるのは「校内研修会」だけなのかもしれません。だとしたら、年間100回超も呼んでいただけているのは、ラッキーなことです。この幸運を最大限に活用したいと思います。数%のトップクラスの人たちには、これからもますます活動していただき、この運動の前途を明るく照らしてほしいものです。私は、その後ろから、「次に続く人たち」の足元を照らしていこうと思います。