「AL型授業は学力底辺校では効果があるか?」

【授業研究/質問を考える】「AL型授業は学力底辺校では効果があるか?生徒に一定のリテラシーが必要なのでは?」という質問はしばしばいただきます。答えは、イエスです。むしろ、そういう学校で一斉授業をやれば「居眠りをする」「おしゃべりをする」「ぼーっとしている」「スマホで遊ぶ」「立ち歩く」などの生徒をどうやって押さえるかに苦労されているはず。それらの問題はすぐに解消します。以下、箇条書きにします。
(1)基本的には「適切な課題」を提供できれば寝る生徒がいなくなります。
(2)「おしゃべり」「立ち歩き」を注意する必要はなくなります。
(3)学力が低い生徒たちに向けては、「課題レベルの調節」と「支援の構造化」が大切です。
(4) 「課題レベルの調節」は「自信を持たせる課題を多めにする」「背伸びが必要な課題も入れる」ことです。
(5) 「支援の構造化」とはわからなくなったり諦めそうになったときに、彼らを元気づけるリソースを用意しておくことです。「解答解説をつける」「日本語訳・現代語訳等をつける」「国語辞典・用語辞典などを使えるようにする」「インターネット検索ができるようにする」「スマホ等を使用可にする」「友達と話して良いことにする」「立ち歩いて相談可にする」などです。
(6)生徒のリテラシーやコンピタンシーが低いことは予想できます。(実は進学校でもそういう生徒はいますが…)その生徒達に必要なことは、「時間をかけること」と「グループへの介入や個別面談」をすることです。
(7)基本的には最初はうまくいかなくても、繰り返している内に生徒達は話し合うことが徐々にうまくなります。1〜2回の授業でうまくいかなくても続けて体験させることが必要です。
(8)うまく行っていないグループには、「あと○分だけど大丈夫?」「チームで協力できていますか?」など質問による介入が不可欠です。少し重傷なら「どうすれば質問できる?」「どうすれば話し合いできると思う?」なども役立ちます。それ以上なら個別面談をします。
(9)個別面談は「できることは何?」を確かめ共有します。そこからスタートします。私の場合は最低線は「先生になら質問できる」でした。そこで「1時間に1回、先生に質問する」を課題にしました。実際には私が近寄って「質問ある?」と尋ね、質問できると課題達成としました。それを積み重ねていく内に、時には「それ、さっきA君に説明したけど彼に来てもらって説明してもらってもいい?」などとコーディネートします。半年くらいかけると、何人かと話せるようになります。

 「生徒達にリテラシーやコンピタンシーがないからAL型授業はできない」と諦めるのではなく、「だからこそ、AL型授業でそれらの力を育成する」と捉えたいものです。